表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スエット姿の召喚者  作者: こんぺき
19/34

19


「本当に大丈夫か?顔色も悪そうだぞ。」

ジェフさんが手を貸してくれたのでやっとの事で立ち上がった。

解体を請け負った集団が離れていくのを見送りながら

何とも言えない気持ちに襲われた。


「大丈夫。本当に驚いただけ。まさか咄嗟の魔法であんなに大きな物を

一撃で倒せてしまうなんて・・・

でも、冒険者になるのは無理だなって思って。

相当な覚悟が無いと生き物を狩る仕事は出来ないって分った・・・」


「そうだな。ヒナタはまだ冒険者としてやっていくには

無邪気過ぎるというか経験不足というか・・・

先ずはこの世界の事を色々体験してみるのが良いだろうな」


そうだよね。生き物を実際に狩るなんて

ゲームやラノベで読む世界とは全然重みが違うんだ。

偶然とはいえ倒した物を見て腰を抜かしている様じゃ

冒険者になって生活していくなんて絶対に無理だ。


「スタニアに着いたら僕でも出来そうな仕事あるかな」

「慌てずゆっくり考えれば良いんじゃないか?まあ、王都についてみないと

ヒナタの処遇ははっきりしないが取りあえずは私の家で色々と勉強だな」


「えっ、ジェフさんの家に置いてくれるの?でもそこまでして貰うのは

流石に気が引けるかな。何処か部屋を貸してくれる所ってないかな」

「何をいまさら遠慮している。乗り掛かった舟でもあるし

右も左も分からないような異世界の少年を放り出すなんて出来ない。

本当の弟になったつもりで頼ってくれて構わないぞ。」


「そういえば聞いてなかったけどジェフさんは貴族でしょ?

僕みたいな得体の知れないのを家に入れて大丈夫?」

「私の家はウォルツ伯爵家と言って昔から外交に関わって来た家柄であるから

他の国からの来客も珍しくは無いな。

ヒナタも当面は異国人という事にしておけば問題ないだろう」


わージェフさん、本当にいい人だ。あの腹黒とはえらい違いだ。

ジェフさんのお言葉に甘えさせて頂きたいけど

またあの腹黒が何か仕掛けてきそうないやな予感が拭えない・・・


そんな話をしながら火をおこしたりスープを作ったりしていると

解体が終わったらしくさっきのおじさん達が戻って来た。


「とりあえず食用の部位だけ持って来たが、必要な分だけ先に取り分けてくれ。」

「僕たちは二人だけだから・・・じゃあ遠慮なく美味しい所を

明日の分とで四人分切り分けて貰えますか」

「四人分て・・・これだけあれば100人分は有るぞ。」

「欲張っても悪くしてしまっては勿体ないです。

その代わりに特権として美味しい所を頂きますから。

皆さんで分けて余ったら・・・あれ、おじさんの名前聞いてなかった」


「ああ、俺は冒険者のジョンだ。」

「僕はヒナタって言います。それで残りはジョンさんが素材と一緒に

売っちゃってください。」

「いや、それは貰いすぎだろ。ヒナタの獲物だし

ヒナタがギルドで引き取って貰えばいい」


「偶然倒しちゃっただけだし、僕には冒険者は向いてないって分かったんで

それだけで大収穫ですよ。いいよね?兄さん」

「ああ、ヒナタの事だから自分でそう決めたなら

私が口出しする事ではないからな」

「という事で皆さんで分けちゃってください。」


「まあ、ヒナタがそう言うなら遠慮なく頂く事にするか。

この先また縁があって何か困るような事が有ったら遠慮なく頼ってくれ。

俺に出来る事なら手伝うからな」

「そこまでしてもらうような事じゃないですけど・・・

お気持ちだけ心に留めておきます。」


「そうしてくれ。じゃあみんな切り分けを頼む。」

大きな石を平らに削った作業台の上に置いて切り分けるようだ。

見ないけどね


「この肉は旨味もあるがちょっと癖があってな。

焼く時も煮込みにする時も香草のロゼメリーとニッケイジュが有れば

完璧なんだが普通旅には持って歩くものじゃないからな」

作業台の方に目をやりながらジョンさんが説明してくれた。


あれ?確か途中でそんな名前の薬草採って来たんじゃなかったっけ。

「それって薬草ですよね?」

「ああそうだ。薬草としての利用価値も有るが料理用のハーブとしても使える。」

「それ、持ってます。ちょっと待っててくださいね」

と言って荷物の傍に行き中から取り出したように見せて

アイテムボックスから取り出した。


「どうぞ使ってください。」

「・・・」

「どうしました?」

「これは生のままじゃないか。普通は保存する為に乾燥させてあるんだが・・・」

「そ、それは今日摘んだばかりです。ここへ来る途中で・・・

生だと料理には向きませんか?」

「いや、生でも構わないが。そうか自分で採った物なのか。

しかし大したもんだな。薬草なんか素人じゃ見分けが難しいだろ?」

「そうですよね・・・僕は薬草採取の仕事目指してるんで

普段からこうやって道端に有る物を探して歩く癖がついてるんです。」


強ち嘘ではない・・・

切り分け作業が終わった人達にもハーブを渡すと

それぞれの調理スペースに戻って行った。


その日の野営場はハーブを使った肉を焼く匂いと、

同じく煮込みのにおいが充満していた・・・



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ