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「二人部屋は空いているか」
! ちょっと待ったぁ~~~
「に、兄さんミカエルさんから何か言われなかった?」
「ああ。聞いてるぞ。ヒナタが心細いといけないから宿では
一緒の部屋で寝てやってくれって言ってたな」
ええー全然話が違うじゃん。どうなってる?
「い、いや僕は他の人と一緒だと・・・いびきとか煩いと思うし
寝言も酷いし・・・歯ぎしりもするらしい?
だから部屋は別々が良いな。その方が絶対お互いの為だから」
「そうか?多少の事なら気にしなくて良いんだぞ。
夜中に寂しくて寝れないとかだったら私は一緒で構わないぞ。」
「いやいやいや、そこまで気を使って貰わなくて大丈夫だから。
そんなに子供じゃないから・・・」
「そうか。ではすまないが一人部屋を二部屋頼む。」
「承知いたしました。お食事は如何されますか?」
「二食付きで頼む。」
「では食堂は突き当り左側です。
夕食はすぐにお召し上がりいただけます。
こちらがカギです。ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」
「ではヒナタ、荷物を置いてから食事を摂ろう」
「了解。食堂で落ち合えばいい?」
「ああ。揃ってから料理を頼めばいい」
という事で部屋の前で一旦別れた。
部屋に入り落ち着いてくると同時に思い出して腹が立って来た。
「ミ~カ~エ~ル~ッ、何言ってくれちゃってるの?!
話違うじゃん。今朝だって「歩き旅は楽しいぞ」だなんて。
焚きつけてくれちゃって!
暫くして気を取り直して食堂に向かう。
ジェフさんは既に席に着いていた。
私が着席したタイミングで料理を頼んだ。
早速さっきから気になっている事を聞いた。
「ねえ、兄さんとミカエルさんて本当に親友?」
「いや、親友というより悪友だな。
仕事や取引などは勿論信用できるが、少々悪ふざけが好きなやつで
親友というには厄介な面もあるな。
他国との駆け引きではあの顔でニコニコしながら相手の痛い所を突いて
自国に有利なように持って行くから外交官としては優秀だな。
しかし学生時代からあのニコニコ顔の悪戯に何度痛い目にあわされた事か・・・」
ジェフさんは遠い目をしている。
よほどの事が有ったのだろう。
今回の事も想像して笑っているミカエルさんの顔が浮かび
してやられたと悔しい気持ちが湧くとともに
まあ、実害無く終わる事は容易に想像できる事だからしょうがないかと
自然と笑みが零れた。
「何を思い出し笑いしてるんだ?」
気が付いたジェフさんが尋ねてきた。
「悪友でも兄さんの事を思ってくれてる人が居て羨ましいと
思ってたんですよ。
今度会ったら何かお返しを考えないといけないなと思って」
「ミカエルの事か?あれもヒナタの事が心配なんだろう。
ああ見えて優しい所もあるからな」
あの優しい笑顔に騙されて痛い目に合う被害者たちの事を思い
イケメンて怖い・・・と改めて思った。




