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最終話「虹の向こう側へ」

彼らが再会した丘の上は、かつて戦いの舞台だった場所。

だが、今は草が芽吹き、空は透き通るように青い。


その中心に、黒い虹の残滓が漂っていた。

輪郭すら曖昧で、もう“力”は感じられない。


陸:「……もう、あれには何の意味もないんだな」


美玖:「ううん。意味はあるよ」

彼女は微笑んで言った。


美玖:「“もう一度、選べる”ってこと」


玲音:「そう。私たちは壊しただけじゃない。“選び直すための世界”を創ったんだよ」



深月は静かに頷いた。

かつての自分がどれほど「記録」に囚われていたか、今ならわかる。


深月:「記録される未来なんて、ただの設計図。

 でも、今のこれは……白紙の地図。好きに描ける」


晶:「最高に面倒くさくて、不安定で、でも……自由なやつだな」


結人:「自由ってのは不安だ。でも、それでも生きたいと思えるなら、十分だ」


カズサ:「お前ら、なんか……まるで主人公みたいな顔してんな」


みんなが笑った。



陸はもう一度、黒い虹の痕跡を見た。

最初はそこからすべてが始まった――だが、今は違う。


陸:「……俺たちの物語は、ここで終わる。

 でも、“生きていくこと”は、これからだ」


彼はゆっくりと手を伸ばし、その残滓に触れる。

だが今度は、吸い込まれることも、押し返されることもなかった。


虹は、ただ風に散り――空へと消えていった。


玲音:「さようなら、観測された未来。

 こんにちは、“わたしたちだけの現在”」


そして彼らは、丘を下る。

かつて誰も足を踏み入れなかった、その先の未来へ。



草の匂いが風に乗って流れてくる。

空は青く、世界は新しく、彼らの一歩がその色を塗っていく。


それはもう、誰かに“書かれた物語”ではない。


自分たちで選び、自分たちで失い、自分たちで得た――

「命の重さ」そのものの物語。


その虹の向こう側にあったのは――

滅びでも救済でもなく、ただ「生きる」という答えだった。


第一章 完

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