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第七話「学校という日常、監視者という異常」

月曜日の朝。

眠気とともに、俺――城戸陸は、何事もなかったように教室へ戻っていた。


現実にはあの夜、時間操作を使う異能者と戦い、命を削る戦いの末に“武器の第二階層”へと到達したばかり。

だが、クラスメイトの誰一人として、その異変を知る者はいない。


(変わったのは、俺の方だけか……)


机に座ると、隣の席のカズサが振り返る。


「おーい、陸。週末どっか行ってたろ? 今日、何か空気違うぞ、お前」


「そうか?」


「なんか目つき怖いっていうか……戦場帰りの兵士かよ。ゲームのやりすぎか?」


(……いや、実際戦場帰りだ)


俺は苦笑いしながらも、その背後に“気配”を感じていた。


黒板の前。教師に紛れて立つ、一人の女子生徒。


黒髪ストレート、鋭い目つき。

学年一の秀才、学園の象徴的存在――生徒会長・一条遥いちじょう はるか


彼女の目が、ほんのわずかに俺を見た。その一瞬に、鳥肌が立った。


(……見られてる。間違いない、“監視”されてる)


直後、俺のスマホが小さく震える。

誰にも気づかれないように確認すると、見覚えのない送信者から、ただ一言のメッセージ。


『君を見ている。午後、屋上へ来い――《観測者連盟》』


(観測者……連盟?)


“観測者”――あのクロックワーカーが言っていた、異能武器を巡る争いの中枢。

その名を騙る何者かが、俺に接触しようとしている。


──放課後。


屋上に足を踏み入れると、風の中にひとつの人影があった。


生徒会長・一条遥。その背後には、真紅の薙刀のような武器が浮かんでいる。


「ようこそ、城戸陸くん」


彼女は微笑みながら告げた。


「私も“武器の使い手”。《観測者連盟》東地区・監視統括。

あなたの“目覚め”を……最初から監視していたわ」


陸が背筋を凍らせる中、彼女の口元はどこか哀しげに歪んでいた。


「あなたは、戦う運命に選ばれた。ならば私たちは、対話の余地がある――」


風が吹き、武器の柄が微かに揺れた。


この瞬間から、“裏世界”と“学校”という二つの現実が交差し始める。

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