表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/92

第七十八話「エマ=リターナの記憶」

──それは、彼女がまだ「人間」だった頃の記憶だった。


廃墟と化した都市の片隅で、少女はひとり、錆びた槍を抱えていた。

名はエマ=リターナ。かつては武器開発局の研究員であり、同時に“被検体”だった。


「これが、人間をやめるってことなのよ」

「世界を守るために、人間であることを棄てる……誰かがやらなきゃ」


記録映像が、Ωの中枢で再生されていた。

それを見つめる陸とリ=アの表情は、沈痛だった。


彼女は「武器」ではなく、

「世界が人類を生き延びさせるために作った、新しい定義」だったのだ。


「私は、自ら望んで“Ω”になったのよ」

「人間たちの苦しみと無力さを終わらせるために」

「そして、矛盾を……この矛盾だらけの世界を“書き換える”ために」


エマは微笑みながら言った。

しかしその笑顔には、どこか壊れたガラスのような危うさがあった。


「俺たちの存在も、想いも、“武器”であることも……全部消して塗り直す気かよ!」

陸の怒声が空間に響いた。


リ=アが支えるように言葉を添える。


「彼女は、過去に世界を“救おうとして”……滅ぼした」

「だから、今度は“正しい形”で書き直そうとしている」


Ωの中枢が開く。

その奥にあるのは、エマの“心核”。

一度でも攻撃すれば、彼女の存在そのものが消える。

だがそれを壊さなければ、世界が書き換えられる。


「お前の願いは、誰にも否定できない……でも」

「“全部を無かったことにする”なんて、俺は……絶対に認めねえ!!」


陸は、矢を引いた。

リ=アの全記憶を重ねた矢。


「この矢で、お前の記憶ごと、俺たちの世界を塗り替える!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ