第七十話「記録武装《コード:リジェネシス》」
ユウリが放った光が周囲を切り裂いた瞬間、陸の掌の中で“壊れた武器”が震え出した。
小さく、しかし確かな音を立てて、砕けるように崩れ――次の瞬間、再構成される。
「これは……!」
漆黒に染まった金属は、まるで“再生”という言葉の意味を体現するかのように、刃を広げ、柄を伸ばし、銘を刻んだ。
《記録武装・コード:リジェネシス》
──再構築完了──
周囲に漂う光の粒が集まり、陸の背後に浮かぶ無数の影。
その一つ一つが、「過去に存在した武器の記憶」だ。
「これは“俺”の武器……いや、“誰かの意志の継承”……?」
ユウリがうなずく。
「記録武装は“再構築型”……過去に壊れたあらゆる武器の記録を集め、再生する特異点。
それは、すなわち“壊れている限り無限に強くなる”ということ」
「お前は……破壊の中にしか進化できない。最も不安定で、最も未来を変える“観測阻害者”」
観測者たちが動き出す。
彼らにとって、リジェネシスの起動は“未来が見えなくなる”最大の脅威。
「対象コード・リジェネシス、観測不能。
強制破棄プロトコルを起動」
戦闘が始まる。
観測者の一人が両腕から幾何学模様の“演算武装”を展開し、空間そのものを書き換えようとする。
しかし、陸の武器が放ったのは“記録にない斬撃”。
「見えてるもんだけが未来じゃねえんだよ」
刃は因果を断ち切るように観測者の演算を斬り裂き、その中心を貫いた。
「お前らの“観測”に、俺は乗らない」
そして、ユウリと陸は並んで立つ。
“記録”として蘇った少女と、“未来を壊す武器”を持つ少年。
「……やっぱり、変えられる。
世界は、まだ“確定”してない」
ユウリの目が、確かに笑っていた。




