第六十八話「観測者(オブザーバー)との再会」
――観測者。
それはかつて、異能力者たちの戦いを“第三者”として見守る中立機関だった。
だが今、彼らは明確な敵意を持って、陸の前に立ちはだかる。
「……アノマリーデータ《No.27》、確認。予測個体との乖離8%。戦闘開始許可、降りた」
無機質な仮面をつけた観測者の一人が、淡々と告げる。
その手には、異様な形状の武器――《量子分解剣・グラフレイザー》。
「“分析”なんて名ばかりの連中が、いまさら何を観測するってんだよ!」
陸は叫びながら、左腕の義手に装着された《記録武装・リブラ》を起動する。
蒼いエネルギーが脈打ち、周囲の空間がたわむ。
《武器:記録武装・リブラ》
属性:反射・重力場制御
状態:最適モード《収束偏向》
「射線ずらすくらい、簡単なんだよ……!」
飛来した観測者の斬撃を重力操作で逸らし、陸は反撃に転じる。
その瞬間――
「観測対象に、想定外の変化……記録更新。対応アルゴリズムを再構築」
観測者たちが、明らかに陸の成長に対応しはじめていた。
「あいつら、学習してやがる……!」
しかも、彼らが戦いながら記録する情報は、戦闘のたびに彼ら自身を“進化”させる。
それが、観測者の正体だった。
「なら、止めるしかない。俺自身が“更新不能”になるまで……!」
と、そのとき。
《全観測者に通達。記録対象《No.27》に対し――“直接接触者”が出現》
背後から割って入る影。
「……止まりなさい。陸に手を出すな」
その声は、かつて聞いたものだった。
だが、今は信じられない人物。
「嘘だろ……!? おまえ、まさか……!」
「ああ。お久しぶり、《アーカイブ担当》神代ユウリ。……復帰、報告するわ」
彼女の手には、あの“壊れた武器”――本来使い物にならなかったはずの、記録結晶の断片。
それがいま、世界を変えようとしていた。




