第六十六話「記録を超える者たち」
炸裂する未来予測の一撃を、陸は滑り込みながら回避した。
だが、その直後には別の角度から弾丸が飛んでくる。
「ああクソ……未来ってのはこんなにせわしないのかよ!」
敵の名は《コード・アーカイブ》。
未来を記録し、攻撃に変換する“未来記録型兵装”。
その演算速度は、理論上、数秒先の全パターンを同時実行するほど。
「避けるだけじゃ意味がない。仕掛けろ、陸」
通信不能のはずの空間に、唐突に響いたのは、かつての仲間・神代ユウリの声だった。
「……どうやってこの空間に接続した?」
「未来を記録する兵器があるなら、それを“干渉”する技術も、未来には存在する。つまり、こっちが先に未来を書き換えればいい」
神代の声に呼応するように、陸の《レコード・キッド》が変化する。
その銃身に刻まれるのは、かつての戦友との「連携戦闘記録」。
【REPLAY MODE】
【戦術記録:クロスリンク連携(神代ユウリVer.β)】
【開始】
「そこだッ!」
敵が展開した“未来障壁”をすり抜ける形で、陸の弾丸がコアをかすめる。
直撃には至らない――だが、確実に未来のパターンが狂い始めた。
「――お前の未来、ここで止まる」
敵の動きが鈍った一瞬、陸は距離を詰め、銃剣モードに変形させて斬りかかる。
「記録再現、全力展開。記録照合:すべての敗北の上に立つ者――」
銃剣が閃き、敵のコアを貫いた。
未来を記録する兵器は、
過去を記録し続けた者によって、砕かれた。
静寂が訪れる。
「……次は“記録者”だけじゃ済まないか」
記録空間から流出し始める、未知の力。
中央部崩壊の兆しと共に、陸は重い足を引きずりながら次の扉へ向かう。




