第六十五話「敵中突破、コードZ中央部」
目を覚ました瞬間、陸は冷たいコンクリートの地面の上に倒れていた。
「……戻ってきたか」
手には、完全に形を変えた《レコード・キッド》。
記録空間で得た力が、現実世界でもそのまま使えることを確認すると、陸は立ち上がる。
周囲は、コードZ中央部――この封鎖区域の中でも最も危険とされる“記録外領域”。
既知の地図にも、ログにも存在しない空間。
「通信不能。座標ロック解除不能。外部アクセス全遮断……おいおい、完全に詰んでるじゃねえか」
皮肉交じりの独り言を口にしながらも、陸の目は冴えていた。
と、そのとき。
「……ターゲット、確認」
電子音のような声と共に、霧の中から現れたのは――
“データに存在しない敵性個体”
漆黒の装甲、虹色に瞬くコア。
その姿はまるで、記録空間で見た“記録再現兵”を反転させたような、異質そのものだった。
「お前……どこから現れた?」
「回答不能。対象:記録者。排除を開始する」
瞬間、空間が歪む。
敵が使用してきたのは――“未来の記録”
「なるほど。俺の《レコード・キッド》が過去を記録して再現するなら――」
「お前は、これから起こる未来を使うってわけか」
“未確定の出来事”を利用した攻撃は、予測不可能であり、しかも今この瞬間すら改変してくる。
一手遅れれば即死。
「なら……先に記録してやるよ」
陸の銃口が、静かに敵へと向けられる。
【REPLAY MODE】
【過去戦闘記録:コードX:三剣一斬・斬鉄記録】
【実行開始】
敵の攻撃が現実を書き換えるなら、こちらは歴史を重ねて破壊する。
バトルは激しさを増し、コードZ中央部は破壊の渦に包まれていく。




