第六十四話「真名解放:レコード・キッド」
雷鳴のような咆哮が、記録空間を震わせた。
城戸陸と“削除された記録”リクの融合が始まる。
その瞬間、彼の右腕に宿る武器が激しく脈打ち、形を変えていく。
【コード一致確認。真名解放条件、達成】
【新たな名を与えよ――】
陸の視界に、光の文字が刻まれていく。
《RE:CORDER》
真名――《レコード・キッド》
記憶、記録、記述。
あらゆる“事象”を記録し、再現する武器。
それが、新たに目覚めた陸の力だった。
「……これが、お前の“意思”か。いや、俺たちの――“記憶の形”」
武器の柄が伸び、長銃のようなフォルムに変わる。
銃口の先には、まるで音叉のように震える“記録媒体”が光っていた。
【能力起動:REPLAY MODE】
【記録:第27防衛戦:全戦闘パターン再現】
【稼働制限:解除】
「ちょっと待て、これ――“過去の戦い”を再現して使えるってことか!?」
突如として現れる“記録された戦闘映像”。
自分ではない誰かの技、誰かの動き、誰かの“武器”を、まるでコピーしたかのように陸が再現していく。
「これが……《レコード・キッド》」
戦いの記憶をなぞる。
戦場の記録を“武器”にする。
それはもはやただの武器ではない――世界の出来事を操作する能力だった。
すると、記録空間が崩れ始める。
「急げ、ここはもう持たない! 現実に戻れ!」
リクの声が消える寸前、陸は振り返って呟く。
「もう一度会おう。次は“現実”で」
光に包まれ、陸の意識は現実へと引き戻される――




