第六十二話「記録改変戦:オーバーライト・ゼロ」
塔の頂に、激突する“記録”と“空白”。
無限階層のデータ空間が渦を巻くなか、陸とカノンの最終武装が起動する。
『――認証確認。コード名:レム・カノン。記録再生、開始します』
全ての記録媒体が共鳴する。
過去・現在・未来の「可能性の断片」が一つの武器に集約されていく。
《削除王》は静かに、だが確実に動く。
『偽りの記録など、価値はない。
消去する』
その右腕が変形する。
構成情報――剣、銃、槌、雷、火、時――すべてを塗り潰す「無の権限」。
「来るぞ、カノン!」
「ええ……でも、私たちの記録は、そう簡単に“消せない”!」
爆ぜたのは因果。
砕けたのは記憶の連鎖。
オーバーライト・ゼロは二人の手で再構築され、空間に《記録式展開フィールド》を展開する。
【演算式入力:因果列382-NY】
【書き換え開始:存在優位演算→上書き完了】
無の攻撃が直撃した瞬間、それは“存在しなかった”ことに書き換えられる。
削除王「……ッ、ばかな。私の力が、“記録”に上書きされていく……?」
「これが、私たちの物語だ。
あんたみたいな“何も知らない奴”に、終わらせさせない――!」
陸の足元からフィールドが発光する。
その中心には――封印されていた“もう一人の自分”の記録が、浮かび上がっていた。




