第五十四話「“複合武装”リコレクト=ゼロ」
光が、音を追い越す。
黒と白の武器が火花を散らす戦場に――陸は、立っていた。
目の前には、黒き双剣の敵。
隣には、血のように紅い瞳を揺らすセラフィナ。
その場の空気が、張り詰める。
敵が言う。
「コードR-0。完全覚醒には早すぎる。制御できるのか?」
陸は返さない。
ただ一つ、目の前に立ちはだかる“何か”を撃ち抜く覚悟だけを剥き出しにしていた。
セラフィナが短く警告する。
「奴は“運営外個体”。情報干渉の防御ができない。攻撃に迷いがあれば、取り込まれる」
「そんなの関係ない」
陸は構える。
リコレクト=ゼロが、形を変える。
まずは銃形態。
「……ッ!」
引き金を引いた瞬間、白銀の閃光が敵の右肩を貫く。
しかし敵はすでに次の動きを開始していた。
「速い!」
双剣が交差し、衝撃波が生まれる。
陸の体が吹き飛ばされるが、その背後にセラフィナの鎖が伸び、ギリギリで軌道を戻す。
空中で体勢を立て直した陸が、今度は武器を変形させた。
第二形態:双刃剣
左右の手に光の刃が生成される。
一瞬で距離を詰め、敵と斬撃の応酬へ。
(感覚が……身体の動きに追いついてる)
身体が、武器が、すべてが陸の意思に呼応している。
「面白い……!」
敵もまた、双剣を駆使して陸を押し返す。
剣と剣の間から、セラフィナの鎖が飛び出す。
敵はそれを読んでいたのか、空間跳躍のように位置をすり替える。
「まだよ……!」
セラフィナの足元が光り、情報加速が発動。
自身の動作を限界まで加速させ、鎖を刃に変えて一閃!
しかし敵は笑う。
「その程度じゃ足りない。君たちはまだ知らない、“管理の向こう側”を」
敵が双剣を天に掲げる。
その瞬間、空間が歪む。
セラフィナが警告を叫ぶ。
「来る……情報位相兵装、“ブレイクコード”!」
——が、次の瞬間。
陸の武器が自動で反応した。
【緊急展開:第参形態・反位相制御モード《ディスコード・レイン》】
武器から光の結界が展開され、敵の情報位相兵装を打ち消す。
「な……!?」
セラフィナも驚きに目を見開く。
「リコレクト=ゼロが……未来予測? いや、“次元干渉”レベルまで到達してる……!」
「わけわかんねぇけど、これで……終わりだッ!!」
陸が突撃する。
武器が最後の形態へと変形する。
全形態融合。
多重形態が折り重なるように変化し、最終攻撃が放たれた。
「撃ち抜け、俺の記憶!!」
——衝撃。
——爆発。
——沈黙。
全てが終わった。
煙の中。
敵は地に伏していた。
その姿が、ゆっくりと情報の粒子へと分解されていく。
「コードR-0……次は、“運営”が動くぞ」
言葉を残して、影は消えた。
その場に崩れ落ちた陸を、セラフィナが抱き止める。
「無茶しすぎ……だけど、ありがとう」
「……マジで、訳わかんねぇ」
「でも、君のおかげで“何か”を防げた。確実に」
陸は目を細めたまま、呟いた。
「次は……“運営”か」




