第五十話「壊れた武器の正体」
光が世界を裂いた。
その瞬間、〈リコレクト〉が形を変えた。
砕けたはずの刀身は、光の帯となって空中を舞い、そして再構成された。
黒と銀の螺旋を描いた、異形の剣。
鋭さと美しさ、破壊と再生を同時に宿すような、“記録に存在しない”姿。
「これは……!」
陸の手の中で、それは震えていた。
まるで、自らが語りかけてくるかのように。
【コード認証完了――起動名:〈リコレクト=ゼロ〉】
【世界の記録より除外された、“失われた武器”】
【対・概念破壊兵装】
「おいおい、聞いてねぇぞ。そんな反則兵器」
アルカが呆れたように笑う。
けれどその顔には、希望の色が戻っていた。
「この刀……俺の声を、聞いてる……? いや、“記録”を……」
陸の意識が、武器とリンクする。
流れ込んできたのは――無数の過去。
封鎖された都市、消された戦争、否定された英雄たち。
かつて世界の表に出ることを拒まれた者たちの“記録”。
「これが……『オーバーアーカイブ』……」
彼は理解した。
この武器は、“世界が不要とした記録”の集合体。
つまり、“存在しないもの”の力を具現化する、唯一の刃。
「陸、来るよッ!」
セラフィナの叫びと同時に、ノウウェア・コード00が襲いかかる。
黒い液状のそれは、空間を食い破り、三人を飲み込まんと伸びる。
「っ、行けぇえええええッ!!」
陸が〈リコレクト=ゼロ〉を振るう。
瞬間、世界が“書き換えられた”。
コード00の触手の一本が、一太刀で消滅する。
「記録を……塗り替えた!? いや、削除した……?」
セラフィナの声が震える。
「意味が分からねぇけど――こいつは、“世界そのものを再編集する”力らしい」
陸の目に、もう迷いはなかった。
「壊れてなんかいなかった……この武器は、最初から“世界を壊すため”のものだったんだ」
ノウウェア・コード00が吼える。
だが次の瞬間、陸は地面を蹴り、斬りかかった。
斬撃は一閃。
空間の歪みごと、敵を切り裂いた――!




