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第四十三話「武器の記憶」

「……っ、頭が……!」


陸が額を押さえた瞬間、世界がぐらりと歪んだ。


まるで夢を見ているかのような感覚。だが、それは「剣」が見せた記憶だった。



古びた神殿のような場所。

天井は崩れ、空から差し込む光はわずかだった。


その中心に――誰かが立っていた。


銀髪の男。

背には無数の武器を背負い、ひと振りの“蒼い剣”を地面に突き立てている。


「世界は――二度、壊れた。だが、その記憶は“武器”が引き継ぐ」


そう言い残すと、彼は剣を地に埋めた。

その瞬間、世界が“塗り替えられた”感覚が陸に走る。



(この記憶……俺じゃない……けど、“この剣”は――)


目を開ける。

剣はまるで答えるかのように、ぼんやりと蒼白い光を放っていた。


「……“この世界は作り直された”。俺の剣がそう言ってる気がする」


「どういうこと?」


セラフィナが眉をひそめる。だが、フォグが補足する。


「武器には、意志がある。長い時間を通じて刻まれた“記憶”だ。それが君を選び、“過去の真実”を告げたのかもしれない」


「世界が……作り直された?」


「そして今、また誰かが“書き換えよう”としている。だから“観測者”が狙われた」


アルカが唇を噛む。


「記録がなければ、どんな嘘でも“真実”にできるってわけか……」


「そう。武器の記憶と、観測者の記録――その両方が合わさって初めて“歴史”になる」


セラフィナが銃を構える。


「“灰”はその両方を奪いに来てる。つまり……私たち、今この瞬間が最後の砦ってことね」


すると、霧の向こうで低く唸る音が響いた。


“灰の侵攻者”ではない。


もっと獣じみた、野太い咆哮。


「新手か……?」


アルカが構えるが、霧の向こうから現れたものを見て、思わず息を飲んだ。


それは――かつて陸が夢で見た、無数の武器が浮かぶ空中戦場と同じ光景だった。


空中に浮かぶ、砲、槍、斧、弓――それぞれが意志を持つかのように漂い、ただ一つの“意思”に従って動き出す。


「“無主の武器群”……!?」


フォグが叫ぶ。


「これは、過去の戦争で失われた武器たち……“主”を持たず、記憶の中だけでさまよっていたはず……!」


「それが現実に顕現してるってことか……?」


陸が一歩踏み出すと、剣が強く震える。


“壊れていた剣”が、過去の記憶に反応するように形を変えていく。


細く、鋭く、どこか儀礼用の剣を思わせる姿に――


「……“アークブレイド”」


フォグが驚きに目を見開いた。


「それは……初代観測者に与えられた、“記録を切り裂く”剣……!」


陸は剣を握り直し、静かに言った。


「俺は……まだ何もわかってない。でも、あんたたちが何を守ろうとしてるかは、少しだけわかった気がする」


「だったら、行こう」


セラフィナが言う。


「“観測の塔”へ。そこに行けば、“世界が書き換えられた理由”がわかる」

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