表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/92

第二話「訓練施設(コードベース)と第一の試練」

「立て。案内する」


銀髪の男――“観測者”を名乗ったその人物は、無言でドアを開けた。

俺は言われるがままに、重たい体をベッドから引き剥がす。まるで体に砂でも詰められたみたいだ。


廊下に出ると、そこはまるで廃工場を改装したような構造だった。

無数のモニターが壁に埋め込まれ、所々には傷のついた訓練用のダミー。

天井から吊るされた電灯が、青白くフロア全体を照らしている。


「ここは《コードベース》。コード兵装使いの訓練場であり、検証場でもある」


「まるで軍の地下施設だな……」


「似たようなもんだ。ここにいるのは皆、何かしらの“武器”と契約した者どもだ。

選ばれた者には力が与えられるが、同時に試される。お前も例外じゃない」


歩きながら、男は一つの自動ドアの前で立ち止まった。

扉の上には《第七訓練区画:初期適合者用》という文字。


「入れ。ここで適性を計る。死ぬ気でやれ」


「いやいや、いきなり!?」


「“壊れた武器”と契約した者は、常に監視対象だ。それだけ危険なんだよ。

本当に使いこなせるのか。今ここで証明してみせろ」


強引に押し出された先は、まるでドーム型の体育館のような訓練空間だった。


そして、そこに待っていたのは――


「やぁ、ようこそ新人くん」


金髪の青年。少年のような笑みを浮かべていたが、その背にある大剣は異様に禍々しい。


「俺はフィル。コード兵装トレースブレイカーの使い手。今日はキミの“対戦相手”だ」


「対戦……? いやちょっと待て、武器も使えない素人を相手に本気でやるのかよ!?」


「“武器”はお前を選んだ。それはすでに、逃げる理由にならない」


観測者が背後から言い放ったその瞬間、フィルが笑いながら大剣を振りかぶった。


「死なない程度にね。はじめよっか、新人くん」


刹那、爆風のような圧が迫る。


俺は反射的に腰にあるそれ――《刻断者ディバイダー》を抜いていた。

使い方も知らない。けど、体が勝手に動いた。


金属と金属がぶつかる音。刃と刃の衝突。

衝撃で床がひび割れ、視界が歪む。


「へぇ……本当に、壊れた武器か。なかなかヤバいのを手に入れたね」


フィルの笑みが変わった。目が、本気の殺気を帯びている。


やばい。本当に死ぬかもしれない――。


だけどその瞬間、俺の脳内に誰かの“声”が響いた。


『戦え、主。お前には、それだけの理由がある』


それは“あの夜”に聞いた声。壊れた刀の奥から聞こえた、誰かの“意志”。


「……ふざけんなよ、もう何が何だかわかんねえよ」


俺はただ叫んだ。訳もなく。感情だけで。


「でも――」


「死ぬよりは、マシだろ!」


刃が震え、俺の中の何かが弾けた。


次の瞬間、ディバイダーの刃が蒼い光を帯び、

まるで“欠けた”はずの部分を補うように形を変えていく。


観測者の目が見開かれる。


「“再構築”……だと!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ