第三十二話「雷を抱いた少女(サンダー・バレット)」
午後八時、東区・古武通り。
突如、空に紫電が走り、閃光とともに爆音が街を震わせた。
「上空から……落雷?」
ビルの陰から様子を窺っていた陸とユナ。
周囲の電柱がバチバチと火花を散らし、信号機は停止。車は立ち往生していた。
「この気配、間違いない。壊れた武器によるものね」
ユナは装置を操作しながら言う。
「暴れてるのか、それとも……」
陸が言い終える前に、もう一度雷が落ちた。
そして煙の中から、一人の少女が現れた。
金髪のボブカットに、黒と黄色のパーカー。
腰にはホルスター、右手には――
「……銃?」
少女は銀色の拳銃を構え、こちらに向けて叫んだ。
「おい! そっちの異能持ち! 私のジャマをするな!」
「……あれ、味方って感じじゃないな」
陸が苦笑すると、ユナは溜め息をついた。
「そりゃそうよ。今の時代、“使い手”が味方とは限らないもの」
少女は、拳銃をこちらに向けた。
次の瞬間、弾丸が雷の尾を引いて飛ぶ!
「撃ってきたぁ!?」
「避けて! 陸!」
ズシャッ――!
地面を抉る轟音。
陸はとっさに回避し、背後の壁に隠れる。
「ちょっと落ち着けっての!」
「名乗りなさい!」
少女が叫ぶ。「“使い手”なら、名を名乗れ!」
陸は腰から《グレイヴ=ゼロ》を引き抜いた。
「……城戸 陸。“壊れた剣”の使い手だ。アンタは?」
少女はにやりと笑った。
「響堂 メイ。“雷弾の銃”――《ラギア=ブラスト》の使い手よ。
あんたを試す。使い手同士なら、それが礼儀でしょ?」
ユナが横から割って入った。
「ちょっと、何を――」
「やらせてやれ」
陸が前に出る。「こっちも知りたい。使い手がどんな奴なのか」
「ふん、気に入った!」
メイは銃を回して構えた。「なら、一発で決めようぜ?」
雷と剣。
銃と斬撃。
新たな“使い手”との初交戦が、始まる――!




