第三十一話「継承者と調律者、二人目の使い手」
「“使い手”って……他にもいるのか?」
放課後の、廃ビルの屋上。
陸とユナは並んで座っていた。下には点滅する都市の灯、上には赤黒く染まる夕空。
ユナは頷いた。
「この世界に、“壊れた武器”は13本ある。そしてそのすべてに“使い手”が存在するわ」
「13人も……!?」
陸は息を飲んだ。
自分が選ばれたというだけでも現実感がなかったのに、同じ立場の人間がまだ12人もいるという。
「君は“斬剣《グレイヴ=ゼロ》”の継承者。そして、あの鉄槌を持っていた男は“重槌《クラッシュ=グレア》”の使い手。彼は“暴奏陣営”の一員よ」
「暴奏陣営……?」
「この武器戦争において、もっとも危険な勢力。壊れた武器を制御するのではなく、“壊れたまま”世界を変えようとしてる。破壊を望む者たち」
陸の脳裏に、クロムの狂気的な笑みが蘇る。
「じゃあ……俺たちは、そいつらと戦わなきゃならないってことか」
「ええ。だから、もう一人必要なの。次の“使い手”を探すわ」
「仲間を……?」
ユナは立ち上がり、スマホのような装置を操作した。
そこには、赤く光る座標が一点、浮かび上がっていた。
「“調律波動”の反応がある。ここに、“二人目”がいる」
陸は立ち上がり、無意識に腰の剣に手を添えた。
「行こう。どうせ、放っておいても巻き込まれるんだろ?」
「その覚悟、悪くないね。じゃあ、始めましょう。次の“可能性”の回収を」
夕暮れの光が二人を照らす。
そしてその影は、ゆっくりと夜に溶けていった。




