第二十八話「最初の試練《断罪者クロム》」
空間が裂けるような“音”と共に、空中から降ってきた男は、
一振りの巨大な鉄槌を地面に突き立てた。
「……“コードK”、か。思ったよりガキだな」
身長は190を超え、筋肉質な体格。全身に走る鉄のような紋章。
その名は、《クロム・グラヴィア》
正統機構から派遣された、“断罪者”。
裏切り者と見なされた者を葬るために作られた、執行人。
陸は黒葬剣を構えたまま、動きを止める。
「……なんだよ、次から次へと。こっちはまだ全然理解できてねえってのに」
「理解など要らん。
お前が《選ばれた》以上、ここからは“力”で語れ」
クロムはその場から踏み込み、地を砕いて跳んだ。
陸のすぐ目の前に鉄槌が迫る。
「ッ――!」
瞬間、防御本能で黒葬剣を前に突き出す。
――が、そのまま吹き飛ばされた。
(重……! ちょっとでもまともに食らったら終わりだ……!)
宙を舞いながら、思考は加速する。
(相手は武器と一体化してる……まるで、武器そのものが生きてるみたいだ)
地面に叩きつけられ、肺から息が漏れる。
クロムは言う。
「貴様が“黒葬剣の継承者”なら、それを証明しろ。
さもなくば、“断罪”するまでだ」
陸は立ち上がる。体中が悲鳴を上げている。
だが、黒葬剣が――いや、“剣そのもの”が震えていた。
(まさか……コイツも、戦いたがってる?)
剣の中心から、黒い光が脈動する。
《干渉指数上昇。起動条件、満たされました》
《起動スキル:《因果崩し(ディスロウ・フェイト)》展開可能》
(やれってことかよ……なら)
陸は一歩踏み出し、剣を構えた。
「こっちだって、ずっと寝てるわけじゃない」
クロムが再び跳ぶ。
「断罪《鉄鎚砕き》――!」
陸も叫んだ。
「スキル発動:《因果崩し》!」
――次の瞬間、衝撃が世界を裂いた。




