第二十七話「鎌使いと《遺された管理者》」
「……コード《K》。あなたが、新たな“破壊者”ね」
少女は銀髪を揺らしながら、軽やかに着地する。
背中には、冷たく輝く“鎌”。それはどこか神聖さと禍々しさを同時に纏っていた。
陸は黒葬剣を構え直しながら、警戒心を隠さない。
「お前は……誰だ」
「私は《ミリア=クラウディア》。かつて“正統”に属していた、管理者のひとりよ。
けれど今は、“裏切り者”って呼ばれてるわ」
「……裏切り者?」
塔の内部、再構築を始めた《正統機構》の巨大兵装が、なおも唸りを上げて動こうとする。
ミリアはそれにちらりと目をやり、わずかに口角を上げると──
「貴方が“コードK”に選ばれたってことは、もう世界は止まらない。
この歪んだ管理機構を――壊す時が来たってことよ」
そう言って、彼女は《鎌》を横に振る。
次の瞬間、銀光が一閃し、空間が“切断”された。
塔の天井、その一部がまるごと崩れ落ちる。
《高レベル兵装干渉検知》
《警戒度を最大へ引き上げます》
陸は思わず呟いた。
「……おい、今のってまさか」
「ええ、“解呪鎌《ミルティナ=レム》”。
存在する“概念”さえ切り裂く、古代兵装よ。もちろん、今は制御できる人間なんてそういない。
けど私は――遺された管理者。未練だけで生きてる亡霊みたいなもんよ」
「未練……?」
ミリアは陸にゆっくりと近づく。敵意はない。ただ、静かに告げた。
「コードK。あなたは“破壊の継承者”であり、唯一の対抗者。
そしてこれから……数多の“武器使い”が、あなたの前に現れる」
「……どういう意味だ」
ミリアは空を見上げた。そこには、ひび割れた空間の向こう側。
“異なる層”が存在していた。
「この世界はね、“表層”と“裏層”、そして“武器に選ばれし者の戦場”に分かれてる。
あなたは今、その境界に立ってる。
つまり、戦いを選んだってこと」
「選んだ覚えはない」
「でも、“武器に触れた”。それで十分よ」
ミリアは最後にこう言った。
「もし……世界の謎を解きたいなら、“全ての武器使い”を倒して。
そしたら、私が教えてあげる。どうして“世界が壊れたのか”を」




