第二十六話「“正統”と“破壊者”」
「管理者・コード《K》、正式覚醒を確認。新管理権限を転送します」
冷たい機械音と共に、陸の視界に再び黒い光が走る。
その中心に、数値と記号の羅列が次々と浮かび、脳に焼きつくように流れ込んでいった。
《権限取得完了》
《補助AI、最適化モードへ移行》
「……お前、本当に継いじまったんだな」
ユウトが重々しい声で言った。
だがその瞬間、塔全体が低く唸りを上げる。
次の瞬間、空間が割れるような衝撃と共に“何か”が現れた。
それは人ではなかった。
巨大な人影──否、“人の形をした装甲”。
黒金のプレートに赤い光を宿す瞳、鋭利な関節。
異常なまでに滑らかに動き、巨大な斧を肩に背負っていた。
《起動確認。模造兵装群制御中枢、コード:Ω=SIGMA、活動開始》
《新管理者候補《K》、優先排除対象に指定》
「ちょっと待て、それって……!」
ユウトが息を呑む。
「ああ……“正統管理機構”かよ」
突如出現した異形の存在。
それはかつての“正統な管理者”たちが作り上げた、人工的な統制機関の残滓。
「つまり……この俺、“破壊者”として公式に敵認定されたってわけか」
陸が苦笑し、黒葬剣を構える。
だが、すぐに理解する。今の自分では、まともに対抗できない。
「ディバイダー、出力どうなってる!?」
《現在のあなたの身体では、黒葬剣の本出力は扱えません。抑制モードでの戦闘を推奨》
「じゃあせめて、一発分くらい──派手なやつ、いけるだろ?」
《了解。模造兵装《断罪式:一閃》、仮展開開始》
黒葬剣の刃が変形する。刃が光を帯び、形状を変えながら音を立てて脈動した。
そして次の瞬間──
「喰らえ、“断罪式”……!」
──陸の一撃が、空間ごと正統機構の影を貫いた。
爆音と共に、塔の外壁が吹き飛ぶ。
黒煙の中で、巨大な影が膝をつく。
《損傷率:32%。再構築プロトコル発動》
《戦闘継続──目標を、排除する》
「マジかよ……タフすぎだろ」
そんな陸の前に、新たな影が着地した。
「よくぞ選んだな、破壊者」
声と共に現れたのは、長い銀髪の少女。
その手に持つのは、透き通るような“鎌”。
「ようやく次の“管理戦”が始まる。……歓迎するよ、コードK」




