第二十五話「模造兵装、《最後の審判》」
塔が崩れ、宙に浮かぶ無数の武器が周囲に散らばる。
剣、銃、斧、鎖、槍、鎌、銃剣──
その一つ一つが、かつて管理者たちによって“模倣”され、封印された異能兵装だった。
ユウトが苦笑する。
「皮肉だよな。本物の“原型兵装”を持つ俺たちが、模造品の中から未来を選ばなきゃならないなんて」
「選べって言われてもな……」
陸が戸惑う中、一つの武器が彼の目の前にゆっくりと降りてきた。
それは、“剣”の形をしていながら、明らかに他と異なる存在感を放っていた。
禍々しいまでの黒光り。柄の中央に埋め込まれた“赤い目”が、脈動している。
《──記録解放:模造兵装No.00《黒葬剣デッドネイル》》
【特性:生命喰らい/異常発現率:94.5%】
【管理者級適合者のみに使用許可】
【警告:選択は、再生ではなく“断絶”を意味します】
「……お前、それ、マジで取る気か?」
ユウトが一歩引いた。
その時、陸の中でディバイダーが叫ぶ。
《それは、かつての管理者が最後に封じた“破壊の意思”だ。触れるな。お前にはまだ早い》
「だったら……なおさら気になる」
陸の右手が、黒葬剣の柄に触れる。
瞬間、彼の意識が爆発するように広がった。
見知らぬ戦場、崩壊する都市、膝をつく管理者たち。
そして、かつて《黒葬剣》を振るった男の背中――
「……親父?」
映像の中の男は、明らかに陸に似ていた。
その背に、管理者の紋章。
そして彼が最後に遺した言葉。
「再生などいらない。この世界は、一度、終わるべきだ」
叫びが耳を突き破る。
《管理者試験、最終判定──終了》
《新管理者選定:候補《K》、適合率:97.2%》
《黒葬剣の継承を確認。管理者権限《破壊》を付与》
現実に意識が戻ったとき、陸の手には黒葬剣が握られていた。
「やっちまったな、お前……」
ユウトが呆れたように言う。だが、その顔には焦りがあった。
「それを選んだってことは、もう引き返せないぞ、陸」
「知ってる。……でも、俺は“親父”のことを、もう少し知りたい」
黒葬剣の赤い目が静かに光る。
世界の均衡が、大きく傾き始めた。




