第二十四話「管理者試験、《正統と異端》」
「……なんで、お前が“それ”を持ってるんだよ」
陸の声に、相手の男――八代ユウトは薄く笑った。
「まさか学校で顔を合わせてる奴が、裏世界でこんな重要人物とはな。お前、やっぱ普通じゃないわ」
彼の手に握られていたのは、ディバイダーと酷似した異能武器。
だが形状はより鋭利で、禍々しい紫の光を帯びている。
《あれは……“原型兵装”の一つ、《歪界刃》》
ディバイダーが震える。明らかに異質な存在。
「この“試験”は、俺たちのどちらが“管理者”の意思を継ぐのにふさわしいか決めるためのものらしい」
「試験?」
ユウトが宙を指さすと、空間に文字が浮かぶ。
【管理者試験:最終段階】
《選別条件:戦闘意思、制御能力、継承適性》
「ここは《記録領域》。管理者が選ばれる前に通る“仮想の戦場”だよ」
そう言った瞬間、空間全体が崩れ始め、周囲に無数の影が現れた。
武器を握る亡霊たち。過去の戦士たちの記憶の残滓。
それぞれが異能を帯び、陸とユウトに牙を剥く。
「やるしかないってことかよ……!」
陸がディバイダーを握る。
刃の傷跡が光り、空気を切り裂くように放たれる衝撃波。
《覚えておけ、陸。この空間は記録だ。だが、ダメージは現実へと“写る”》
「つまり、死んだらマジで死ぬってことだな」
ユウトも武器を構え、にやりと笑う。
「いいじゃん、シンプルでさ」
彼らは敵を斬りながら、次第に互いの実力を見極めていく。
どちらが「選ばれた正統」なのか。
そして、なぜユウトが“歪界刃”を所持しているのか。
――やがて、数体目の亡霊を斬った瞬間、ユウトが口を開いた。
「陸、お前……本当に自分の親のこと、知らねぇのか?」
陸の手が止まる。
ユウトの目が鋭く光った。
「お前の父親、管理者だったんだよ。俺と同じ、な」
陸の意識がぐらりと揺れる。
だが、その隙を突くように、空間の中心で“塔”が音を立てて崩れ始めた。
【管理者試験──最終フェーズに移行します】
異能空間が再構成され、今度は二人の足元に巨大な模造武器群が出現する。
それぞれに干渉し、力を試される最後の戦場。
――正統か、異端か。
――継ぐべきは、破壊か再生か。
《選べ、陸。お前の“武器”を》




