第二十二話「記録再構成:《時の断面》」
陸の目の前で、世界が反転した。
空間に走る裂け目から、まばゆい光と共に、幾つもの“映像”が流れ込む。
どれもが現実ではない――しかし確かに、どこかで誰かが体験した“真実”だった。
「やめろォォォォッ……!!!」
小さな少女が、血まみれの手で兄を呼ぶ。
「お前さえいなければ、俺は英雄になれたんだよォ!!」
一人の男が、武器を振り下ろす瞬間。
「次の管理者候補が、また目覚めたか……厄介な」
仮面の者たちが、機械の塔で会議している。
断面の一つに、陸は知っている顔を見つけた。
「……カズサ?」
それは、現実世界のクラスメイト・陽向カズサの姿だった。
彼女は、白い空間で、何かと対峙していた。
まるで陸と同じように、“記録の選択”を迫られているようだった。
『選べ。過去に戻るか、すべてを忘れるか。』
「……ふざけんな。誰かが勝手に決めた“正しい過去”なんかいらねえよ……!」
その叫びに、陸の胸が強く鳴る。
「……そうだよな」
誰かが決めた都合のいい“過去”や“世界”じゃなくて――
自分たちが、選んだ現実を取り戻すために。
《記録再構成モード起動──コード:R.B.77》
陸の右手に宿る《刻断者》が、真の形を見せ始める。
「俺が、俺自身の記録を刻み直す」
そして陸は、“断面”のひとつを跳び越えた。
次なるステージ――管理者の記憶そのものへ。




