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第八話「観測者連盟と選ばれし武器たち」

「観測者連盟――?」


俺は、屋上の風の中でその言葉を反芻した。


目の前の一条遥。生徒会長でありながら、裏世界の“武器の使い手”でもある彼女は、微かに頷いた。


「私たち“観測者”は、この世界の異能武器戦争を“記録し、制御する”立場にある」


「制御、ね……ずいぶん偉そうな立場じゃないか?」


「その通りよ。でも誰かがやらなければ、この世界はすぐに“武器に選ばれし者たち”によって滅びる」


彼女の声には、冷たい諦観のような響きがあった。


遥の背後に浮かぶ武器は、弓と剣を掛け合わせたような奇妙な形状だった。

赤く輝くその武器は、まるで彼女の怒りと使命感そのもののようだった。


「陸くん。あなたが手にした“刻断者ディバイダー”は、非常に特殊な武器。

階層構造において“第二階層”へ既に到達している。これは通常あり得ない速度。

しかもその武器は……本来、破壊されたはずの“禁じられた兵装”よ」


「……壊れてたのは演技か?」


「違うわ。壊れていた。けど、それが“君に応えた”という事実が問題なの」


遥は指を鳴らす。すると空間が震え、彼女の背後に三人の人影が現れた。


それぞれが異なる形状の武器を持っている。長槍、銃剣、そして宙に浮く盾。


「彼らも“選ばれし者”であり、観測者連盟の“階層執行部隊”。

あなたが暴走すれば、彼らが処理する。それがルール」


無言で俺を見つめる三人。圧倒的な殺気と武器の存在感。


(……つまり、これは“脅し”ってことか)


だが、俺はただ無気力にそれを見返した。


「俺は暴走するつもりも、正義を気取る気もない。

でもな、あの時――あの女を救うために“武器が力をくれた”。

それだけは、間違いじゃなかった」


一瞬、遥の目が揺れた。だがすぐに、微かに微笑む。


「その言葉、覚えておくわ。

いずれその“正しさ”が試される時が来る。

観測者連盟も、武器の階層も、すべてが“真実”に繋がるのだから」


風が吹いた。戦火のように熱く、しかし予兆のように静かな風が――。

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