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5R ワンコイン

 ある日町に行く途中で車軸の壊れた馬車に出会った。

「どうしました?」

「ああ車軸が折れちまって、職人をここまで呼ばないといけねえ。ぼうず、町まで急ぐのか?」

「いえ別に明日でも構わないくらいですよ」

「それじゃあ済まねえが、職人呼んで来るまで、馬車の荷物監視してくんねえか」

そう言って御者のおじさんは大銅貨3枚くれたので、僕はそれを引き受けた。多分おじさんは僕が町に薬草か何かを売りに行く、小遣い稼ぎ程度にしか思わなかったのだろう。確かに狩った魔物を売って、小遣い稼ぎに行くとこだけどね。


 あのおじさん走って行ったけど大丈夫なのかな?

 翌日の昼前におじさんと、馬車修理の職人さんが来た。螺旋状のネジの付いたジャッキで馬車を持ち上げ、車軸そのものを交換してた。軸を通して受け軸も変えて、何とかなった様だ。

 僕は職人さんの方の馬車に乗せてもらい町に入る。おじさんはゆっくり様子を見ながら町に入る様だった。

 職人さんにお礼を言って町のギルドに急いだ。


「はあ〜、熊に狼の魔物かよ。お前さんのギフト凄えな」

「あはは」

 そして例によってウィスキーとブランデーにワインも今回は出してみた。

ウィスキー金貨1枚(10万円相当)

ブランデー金貨1枚と小金貨5枚

(15万円相当)

ワイン銀貨1枚(五千円相当)

 ワインは今回味が分からないのでお試し価格だった。それでも十分高い。日本円だと1000円だ。

 

 僕はホクホク顔で帰路についた。


 ちょっと帰る時間を見誤ったかも知れない。日暮れまでに村に着けそうも無いよ。

「ブヒィー、ブヒブヒ」

 げっ、オークだ。よりによって街道に出るかあ。

「ターフターフターフ、ダートダート」僕はターフでオーク3頭の脚を止める。深く沈むから歩く速度が遅くなるんだよ。その間にダートで目潰しさ。便利だなコレ。

 フッフフ、オークどもライスシャワーの祝福を受けるがいい!

 ビューン、ドカッ。

 ブーン、バキッ。

 それ、上からドコーン。

 ふっはは、完全勝利だ。

 ピロ〜ン。

 んっ、何? あっ、レベルアップした。馬運車が出せます。

 僕は辺りをキョロキョロと見渡した。夕方になる直前の為馬車も人もいなかった。ならばと馬運車召喚!

 ドスン。おおお、どうやって運転すんだコレ。そう僕は6歳なのだ。ペダルもハンドルも届かないんだよ。

『ご主人様自動操縦になっておりますので、念じるか詠唱で動きます』助かったあ〜。


オークやターフ等諸々の物を競馬アプリに入れた僕は、村の手前で馬運車を降りてそれを送還し、駆け足で村に戻った。


「漸く帰ってきたわね。心配したわよ」「ごめんちょっと遅れちゃって、馬車も無かったし」

「夜は狼とか危ないからな気を付けてね」「は〜い」

 実際にオークが出てビビったよ。まあ夜中はオークも動かないけど、流石に夜の狼は強敵だ。馬運車様様だな。

「おっ遅かったなマール。暗くなったら危ないから気を付けろよ。遅くなるなら宿に泊まれ」

「うん、今度からそうするよ」

「あら、宿代持ってるの?」

「うん、薬草で小遣い貯めてたから有るよ」

「そう‥‥、大事に使いなさい」

「勿論だよ」一回1000円競馬でスリましたとは言えない。マールだった。


「オーク3頭だとお〜」「全くとんでもねえガキだな」

そう、僕はまた町に来ていた。

 解体場で随分な言われ方をしたが、実際その通りだから仕方無い。オーク3頭はD級かC級のパーティーの獲物だからだ。

 金貨5枚でホクホクだよ。日本円で50万円だが、命を懸けるとしたら高くはない。

 今度の日曜日には天皇賞・春と言う大きなレースがあるらしいので、ダガーデュンドって馬に単勝を張ってみようかと思う。臨時収入が入ったしね。



 ある日の午後。午前中に農作業を終えた僕は、両親に話を切り出した。

「お父さんお母さん、僕冒険者になりたい」

「危険だぞマール」

「マールはまだ剣が使えないでしょう」

「うん、だから15歳になってから、旅に出ようかと考えてるよ。それまでは剣や身体を鍛えるんだ」

「そうなの。何だか母さん寂しいわ」

「男ならいつかそう言う日が来るさ母さん」

「でも危険な職業よ」

「僕は商業ギルドにも登録して、自分のギフトで得られる商品も売りたいんだ」

「えっ、マールのギフトにはそんな機能も有るのか?」

「今はまだ話せないし、使えない機能も有るから、旅立つ頃には話すと思う。そうだ父さんコレ、僕のギフトから得られる商品の一つなんだ。ちょっと飲んでみて」

 ドンッ。

「なんだコレ?」

「お酒だよ」

「エールじゃ無いよな」

「エールは日持ちしないから、行商には向かないかなあ。コレはねぶどう酒を蒸留したものなんだ」

「綺麗な琥珀色だな」

「何度か蒸留を繰り返して、樽に3年以上寝かせて造る酒だよ」

「開けてもいいか」

「勿論その為にだしたんだから」

「私も頂いて良いかしら」

「うん、母さんも気に入ると思うよ」

「開ける前に聞いてもいいか?」

「何」

「コレ幾らするんだ」

「ギルドに卸したら金貨1枚と小金貨5枚だったよ」

「「‥‥‥‥マール開けられないわ」開けられねえ」

「あ〜、ギルドの人には言わないでね。元は銀貨1枚ぐらいだよ。内緒だからね。人には絶対に喋らないで」

「「わっ分かった」分かったけど、それでも高いわね」

 結局両親には開けてもらい、試飲をしてもらった。

 その旨さにかなりびっくりされた。

「こりゃ高いのが分かるな」

「本当に芳醇でまろやかね」

 この日から僕は時々お酒を提供したよ。旅に出る前は沢山置いて行こう。そう心に決めるのだった。


 お父さんとお母さんは、後継者がいなくなるからと夜の営みに励んでいたよ。

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