第7話 気持ち
私小泉 咲希突然ですが皆さんは好きな人に振られたけど、またやり直したいということを男の人に言われたら皆さんはどうしますか?
「えっ?」(嘘よ!そう絶対に嘘!私また鞁島のことを思っちゃう!さっきまで克服したはずなのになんでこんな!)
「ダメ?」
(鞁島を困らせてる)
「えっと……」
私は少しメガネがキラリと光ったまま下を向いた。
「す、少し考えさせて……」
「何で?」
「だって私克服したばっかなのに!」
「克服?もしかして!僕のことを克服してくれてたの!?」
「あっいやその……」
「いいよ!」
「えっ?」
「待ってあげる!でもその代わりに!」「誰にも渡さないようにしてね!咲希ちゃん!」
その時話を聞いていた河上に対し、その言葉を聞こえるように言ったことが分かった河上は。
「っ……!」
後ろを顔を少し向いていた鞁島が河上の方に顔をこっちにドヤ顔で向いてきた。
「じゃっじゃあ私ここだからじゃあね……!」
「うん!バイバーイ!」「……」「何で盗み聞きしてたのかな〜?」「河上くん?」
「ちっ……」
「いけないじゃないか?盗み聞きするなっ……!」
「お前!何で聞こえるように言った!!」
河上は鞁島の胸元のシャツを掴んだ。
「あれ?バレてた?」「フッ」
「……!」
「お〜怖い怖い」
河上は鞁島を睨んでいた。
「何でだろーね?」「まぁとにかく聞こえてた方がいいかと思って言っただけだけど?」
「はぁ!」
「まぁまぁ、精々僕に取られないように頑張って……!」「グッバイ!」
「……」「なんだよアイツ、」「取られたって渡すつもり無いし……」
この春私達は何となくよく分からないことになった。
「はぁ……」
お風呂に入りながら大きなため息を出した。
「僕とまた付き合わない?」
(あんなこと言われて……)(考えながらずっと言わずにするものもな〜?)
「あ〜!もう!」
(何で私モヤモヤしてるんだろう?)(今のところ好きな人はいないし……)
「はっ!」
河上の顔を思い浮かべた。
「ちがーう!」「あんなやつは好きでもないんだし!ただのバカ!」「はぁ……」「好きになったらどうしよう……」
夏になるとセミが鳴いていて、ジメジメして、虫が手につくし、私夏がいちばん嫌い!
「あ〜!暑い!」
「も〜!ちゃんとしてよ!咲希!」「もうそろそろ慣れたら?」「夏が嫌いだからって、慣れないと夏バテするよ?」
「わかってるってば〜!」
「おーいっ!」
「うわっ!」
後ろから河上が肩を叩いてきた。
「何!」
「お前夏バテすぎ!」「夏嫌いなん?」
「そうだよ!なんか悪い?」
「いや?」「?」
静紅が河上を見ていた。
「河上!」
「んっ?」
「後で話がある、放課後こい!」
(えっ!嘘!静紅が!あんないい子だったのに!何か私みたいになってる!)
「行くよ!咲希!」
「えっ!ちょっと!待ってよ〜!」
「?」「なんだアイツ?」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴ったその時に河上は教室を出て静岡のとこりに向かった。
「何?話って?」
「2人って、」
「?」
「付き合ってるの?」
「はぁ!」
「だって最近仲良いじゃん!」
「仲も良くないし!付き合ってもないわ!てか、何でそうなるんだよ!」
「だって咲希が最近変わったななって思ってさ…」
「……」(あいつあんなに泣いてたからな……)
「だって!元彼がこの学校に転校したのも関わらずに笑顔になってるもん!」「何かあったの?」
「はぁ……」(めんどくさい)(そっちかなんだ、)
「具体的に言うと、克服した。」
「こ、克服!」「嘘!あの咲希が!」「何でどうして!あの咲希が!嘘!」
「……」
「俺とまた付き合わない?」
河上は鞁島が言った言葉を思いだした。
「もういい?」
「ちょっと待って!」
「河上私咲希とまた話せたのは多分河上のおかげ。」「あとさ、」「あんた咲希の事好き?」
「はぁ!」「好きじゃねぇし!」
「まあまあ、言っとくけど。」「鞁島に取られたくなければ今のうちだよ?」
「……」
「私も咲希には悪いことはした、だけど、」「私も!鞁島に咲希が取られたくない!」
「……!」
「だから、河上が頑張ってくれないと困るんだよねー。」「まあせいぜい頑張ってください!」
「だからなんで!」「……」「取られたくないっ、か……」
(んっ?)(河上帰ってきた、何話したんだろう?)
キーンコーンカーンコーン
「咲希!一緒に帰ろ!」
静紅が話しかけてきた。
「うん!帰ろ!」
「静紅、」
「ん〜?」
「静紅って私に似た?」
「えっ?」
「だって私性格悪いじゃん?」「なのに最近優しかった静紅が私に似た気がしない?」
「確かに最近私変わったかな?」
「でしょ?」
「まぁいいじゃん!」「あっ!そうだ!」「ねぇねぇ咲希!」
「ん?」
「咲希って河上の事どう思ってる?」
「ぶっ!はぁ!」
「聞きたいなー?」
「なんとも思ってない!」
「へぇ〜?」
「もう私ここだからじゃあね!!」
「うん!バイバーイ!」「考えておいてね〜!河上の事!」
「もういいでしょ!」
「はいはい!」「じゃあね〜!咲希!」
「はぁ〜」
「……」
「僕とまた付き合ってくれない?」
「……」
(私はどうしたらいいのかな?)
(何で私なんかと付き合いたいのかな?)
「私なんか……」
「ドンッ!」
「わぁ!」
後ろから河上が来た。
「お前元気なくね?」
「はぁ!お前に言われたくないし!」
「……」「聞いた……」
「?」
「鞁島にまた付き合おって言われたところ……」
「!」「何で!」
「何でだろうな……」「俺でも、わかんない……」
「どういうこと?」
「……」
河上はなぜか顔が真っ赤だった……