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第33話 『元勇者の二度目』

 街中から、先の地震で無事だった人たちが、冒険者学校のその跡地へと駆けつけて怪我人の救出と治療を手伝ってくれた。

 冒険者の集う街だけあって、住人は皆タフネスだ。

 声を掛け合い、助け合い、次々と瓦礫の中から負傷者が救出されていく。

 ユノが土壇場で発動させた『聖絶』もあいまって死傷者はさほど多くない。俺も、救世の聖女も出張る必要がないほどだった。


 残る問題はあと一つ――しばらくしてマオが意識を取り戻した。

 どうやら、マオの内に流れる魔力は、生まれてからずっと受けてきたであろう魔王の精神汚染によって、変質してしまったらしく、加えて今回の魔王の顕現。


 ――手足を覆う硬皮は魔王の魔力を退けてなお、こびりつき、残っていた。

 マオの無事を確認して、その変貌、その事情を説明したのだが、


「うむ、問題なかろう! 尻尾とか便利だし、かっこよかろう? この口調と一緒よの」


 実にたくましい……目覚めてからずっとこの調子だから、魔王の擬態を疑ったほどだ。


 ようやく全て終えてみれば、そこにはユノがいて、聖剣を手にした俺がいて、前回と同じ要素全部ひっくるめて、携えて、結果だけが違う。運命とはかくも紙一重なものなのだとかと考えさせられる。


「――よがっだわぁぁぁああああああ」


 しかし穏やかなものだ――昏倒から目覚め、未だに涙はもちろん鼻水とよだれを垂らしながらマオに迫っているユノを除けば……。


「ってばっちいな!?」


「しょんなごどいっだでええぇぇぇ」


 抱きつかれているマオからの非難を受け、さらに体液を振りまくユノであった。

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