準備
ここまでちょこちょこ改稿し、設定を追加しています。特にはじめのいんたーばるは全て第三者視点かつ詳しく。
他、①緑の魔法の対価は寿命。②クヴァレの真珠及び髪色変化について追加しております。
翌朝、早朝から借りた空き家の入り口に花を咲かせることにした。特殊な環境でしか咲かない白いサルビア・ディビノラルだ。予言者のセージという別名がついていて、メキシコのとある先住民がシャーマン的ななにかに使用したと言われているソレ。日本ではサルビアは赤くて夏に公園とかで咲いてるのをよく見るけど、実は900とか5000以上(諸説あり)あるんだって。その中で唯一の幻覚作用があると言われているサルビアがディビノラムだよ。
効果がありすぎると困るので、ほんの数輪だけ緑魔法さんにお願いして咲かせた。膝丈くらいの長さで下半分は草、上半分が長い筒状の花で茎の周りを囲み頂点まで咲かせている。下の方から咲くからか全体像はにんじんを逆にしたようなシルエット。草はシソ科だからか、ゆるくとげとげしていて紫陽花の葉に似てる。
空き家はレンガ造りの平屋である。ヨーロッパの田舎の家みたいでとてもかわいい。集落の中心地から少し離れたところにあるし、せっかくなので家の周りも白いタンジーで囲ってみた。キク科ヨモギギク属、花は1cmくらいで丸くちっちゃくいっぱい咲く草丈は1mほど。マーガレットの花びらを全てとって、真ん中の黄色を白にしたような花。ハルジオンでも可。ポピュラーなのは黄色だけど、ディビノラムが白なので揃えてみた。害虫防除のハーブでもあるよ。除虫菊の一種。
ディビノラムの方が草丈が低いのでうまく隠れてる。
「ナナシさん……おはようございます……」
まだ眠そうなクヴァレが目を擦りながら出てきた。
「おはよう。クヴァレ よく眠れた?」
「それが、いつもと環境が違うからか……あまり……」
言いながら大きなあくびをする。大きく開けても小さな口がふぁぁとなる。可愛い。
「どれくらいで到着するかわかる?」
いつもの様に目をつむって遠見するクヴァレを見守る。
「おそらく正午前だと思います。もう移動を始めているようなので」
「はやいね。それじゃあ、こっちも朝ごはんを食べたら準備をはじめないとね」
私が植物を生やしまくるのを見慣れ過ぎたクヴァレくんは家周りが一夜にして白い花に囲まれていても反応しない。もはや日常と受け止めているようだ。……神さまとの話し、全部聞いた訳じゃないようだ。変な心配をかけずに済んで安心した。
「こんにちは! ナナシちゃん弟くんいるー?」
楠木まで数往復して作ったアクセサリー等を運んでしばらく、明るい挨拶とともにマリリンさんがやってきた。今日はいつもの前掛けは外し、シンプルながらも女性らしい生成りのワンピースを着ている。ちなみに私はいつものダボっとしてズルッとした服である。女性らしさ、とは……。
「おはようございます。マリリンさん! 今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそ!」
中に入ってもらって机に並べた追加で作成した真珠アクセサリーを確認してもらう。
「留め具がないので緩いブレスレットかネックレスの2択なんですけど、数だけはたくさん用意してきました。どうでしょうか?」
「いいわー! この前も思ったのだけど、状態が完璧よね。傷もなく形が正に丸で光の反射が眩しいくらい。真っ白じゃなくて温かい感じのする薄いイエローなのも良いわね。ナナシちゃんのおかげで臨時収入もあったし、私も一ついただいてもいいかしら?」
うっとり商品を眺めるマリリンさん。
「クヴァレ、大丈夫?」
こっそりクヴァレに了承をとる。小さく頷くのを確認して、マリリンさんが一番視線を集めていた真珠少なめのブレスレットを手に取った。
「勿論。とっても似合うとおもいますよ! つけて見てください」
「うふふ。本当に綺麗ね〜」
「そうですよね! とっても綺麗なんです!!」
「買うわ。7掛けで!」
「毎度ありー!」
クヴァレさんの真珠はいつみてもうっとりしちゃう。そりゃ高値で売れるわ。宗教関係者も慌てて探すよねー
「一応、何も加工していないものも持ってきたんですけど、どうしましょうか? 少し青みがかったものもあるんですよ」
クヴァレに色の事を聞いて、今朝、持ってきてた物を色別に分けた。ほとんど薄い黄色というかカスタードクリームみたいな色だけど、1割くらい薄く青い物もあった。ちなみにこれまで作成したアクセサリーは全てカスタード色である。
マリリンさんは色違い稀少価値!高額!と呟いてから少し考えて言った。
「そうね。後で交渉の際に出しましょうか? 在庫がたくさんあると値切られるかもしれないし、後出しした方が特別感があるかも」
購入いただいたネックレスをつけたマリリンさんと商品を並べ直したり、販売についての今後の話をしてしばらくすると、扉を叩く音がした。
「あ、来たみたいですね! 私案内してきます! クヴァレは隠れててね」
扉を開けるとクヴァレが話していた通り4人組の和装の人たちが立っていた。




