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内職


苦しめられると海が荒れる。

島国だったその国は外敵が海からくるのを防ぐために僕を使用していた。

よく水に毒を溶かされ、苦しめられ結界のように使われた。

媚薬も溶かされ、遊ばれて、気持ち悪がられた。

溢した涙は水には溶けず、全て回収されていた。かなりの収入になっていたようだけれど還元されることは一度としてなかった。


ナナシさんに召喚されて、乾いた肌は人のようになった。臓器も透けなくなった。長すぎる髪は切ってくれた。


仮の名前までつけてくれて……今、僕のわがままにも付き合ってくれようとしている。


これまで白黒で冷たかった世界が、彼女の周りだけ色を持ち、温度がある。心地よくて離れたくない。


その為なら僕は……なんでもできる。



クヴァレが閉じ込められていた国を探す為、私はまず内職をすることにした。

真珠を売り出せば、その内相手がひょこひょこやってくるんではないかと思ったのだ!


真珠に荊棘(いばら)で穴を空ける。(生えてる荊棘にぶっ刺す)なんか勿体無くてとっておいた長ーいクヴァレの髪を糸の代わりに使う。一本じゃ弱いので数本通す。

真珠のロングネックレス! 二連! 出来た!


「どう? クヴァレ? 私輝いてる?」


出来上がった真珠のネックレスをつけ、クヴァレに向かってしなをつくり、下から後ろ髪を掻き上げた。


「……な、ナナシさんが……ぼ……ぼぼぼくを身に纏って……!」きゅぅ


おーっと久しぶりの失神ですね! とりあえず、藁ベッドに運んどこう。うん。

ふざけていたらクヴァレが気を失ってしまった。こんな不細工の元おばさんに顔を赤くして失神までしてくれるなんて、なんて純粋で良い子なんだ。起きたら作戦はーなそーっと。


「ちょっと集落に行ってくるねー!」


いつもの荊棘で防御力を強化して気持ち的に声をかけてから、村に向かうことにした。





「マリリンさーん!」

いつもの集落のいつものお店に入り店員のマリリンさんに話しかける。


「あら、ナナシちゃん! その後、ライアンとはどう?」

あ、すっかり忘れてた。ライアンとは初デート途中で帰宅するという酷い行いを笑顔で受け入れてくれたゴリマッチョ君である。


「それが……実は、弟がお付き合いを反対してまして……」


「あらあら、ナナシちゃんをとられるのが嫌なのねぇー 微笑ましいわ〜」

マリリンさんはほんわか笑顔。弟君は本当にお姉ちゃんが大好きなのね〜とほのぼのしている。たぶんそう言う感じじゃないけど何も言えん。沈黙は金である。


「とりあえず、姉離れするまでお付き合いは保留にしようと思ってるんです。紹介してくれたマリリンさんと会ってくれたライアンには申し訳ないんですけど……」


「そういう理由じゃしょうがないわね! ライアンには私から上手く言っておくから気にしないのよ!」


「あ、ありがとうございますっ!」

マリリンさんの優しさが心に染みる。知らないとは言え、こんな幼児(見た目)を誑かす犯罪者予備軍(予備軍だよね? まだセーフだよね?)にも安定の優しさ。胸に沁みます。


「それで、今回は新しいものをお金に換えていただきたくて持ってきたんです。ちょっと見てもらえますか?」

いそいそとクヴァレ産の真珠を加工したネックレスをポケットから取り出す。傷付いたら困るのでいつもの綿で包んで持ってきた。そっと両手で広げて掲げるように差し出す。


「こ、これは! 宝石?」

すんごく驚いてるマリリンさん。レアやー


「はい。希少な海で取れる宝石なんですけどご存じですか?」


「聞いたことはあるけれど、見たのは初めてよ〜! 美しい光沢、大きさも揃っていて二連もあるなんて、なんて贅沢! 素敵ね〜」

マリリンさんはうっとりして顔が乙女になっている。

「よかったらつけてみますか?」


「いいの!?」

「はい! つけて減るもんじゃないですから!」

「嬉しいわ〜!」

人間、素敵なものをつけるとポーズをとりたくなるらしい。マリリンさんは売り物らしき鏡を持ち出していろんな角度で自分と真珠を映して楽しんでいる。


「……絶対に高く売れるわ。でも、ここじゃダメ。もっと大きな街へ持っていかないと」


「高価なものなので、お金は売れたらもらうってことで! 代理販売みたいな感じでしょうか? 手数料として3割マリリンさんの取り分でどうですか?」


「そんなにもらってしまって良いの? これはかなりの高額で取引されると思うわよ? 例えば、200万で売れたとして3割だと私が60万、ナナシちゃんが140万になっちゃうわ!」


「いーです! いーです! 私だと販売するルートがないですし、マリリンさんにはいつも本当に感謝してるんで! それに、実はまだあるんですよ! その宝石。手のひらいっぱいくらい……」

クヴァレくんはよく泣くからなぁー 本当は手のひらどころか45ℓのバケツ一杯くらい溜まっている。


「そうなの!? すごいじゃない!! 大金持ちも夢じゃないわ」


「はい! 一緒に大金持ちになりましょう!」


「ガッテン承知よ!」


そんなわけで、大きな街での販売はマリリンさんに任せることができた。次の仕入れに併せて売ってきてくれるらしい。マリリンさんは肉体強化の魔法が使えて普通の人より早く移動できるんだって! 普通の人だと徒歩で往復一月かかるところを半分以下で行って帰れるらしいよ。


大量の真珠を流通させれば、私が召喚したことで突然消えた人魚(クヴァレ)を探している人達はきっと反応すると思うんだよね。

あとは怪しいやつが現れたら、返り討ちにしてアジトを暴き出すだけだ。


問題はどうやって返り討ちにするかだよねー


私はタブレットを駆使して、日夜ヤヴァそうな植物の検索に明け暮れるのであった。


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連載再開までコチラの短編コメディはいかがですか?
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