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集落


真珠はせっかくだけど、これから行く集落は狭い。

もっと大きな街とかじゃないと足が着いて面倒になりそう。

これはいざという時の為に大事にとっておこう。


一先ず、売れそうな荷物をまとめて持って楠木の外へ出た。

私がいない間、クヴァレを守らないと。緑の魔法ちゃん今日もお願いします!


「硬く鋭い荊棘よ! 楠木を包んで。何も誰もここへ入れないように! 見ることのできないように!」


棘の鋭い薔薇が有刺鉄線のように幾重にも幾層にも連なり壁となる。


10m程のドーム状になった荊棘。でも、きっとそんなにもたないかな。燃やされて仕舞えばそれで終わってしまうかも。


「どうしよう。どうしたら……」

そうだ。嫌がらせだ!


「ラフレシア! ラフレシア!! ラフレシア様!!! いっぱい咲いて!

近づいたら臭いんだから! 誰も何もクヴァレに近寄んな!」


20体くらいのラフレシアが、等間隔で荊棘のドームを囲む。

くっさー! よしこれでクヴァレは無事だ!

差詰め、クヴァレは眠れる森の人魚だね。意気込んで集落を目指した。



東、と言われても方角もわからない。太陽の出てきた方で合ってるのかな。

地球と自転違うかも? と思いつつ、少年が指さした方角がちょうど地球と同じだったので歩いた。

周りには目印になるようなものがない。

木がたくさんあるだけ。ちょっと傾斜があるから、川が近くにあるのかもしれない。

ここには危険な動物はいないって少年が遠見してくれたけど、ちょっとびくびくしながら歩く。

お菓子の家を見つけた子供は、パンくず撒いて失敗したんだよね。

私は植物しか出せないから、わかりやすい植物で食べられなさそうなススキを出して歩いていた。

ナイフとか鎌とか交換できたら帰りは刈って茅葺屋根が作れるかも! とか思ったのだった。


体感10分くらい歩き続けると傾斜の先に30軒くらいの集落を見つけた。

少年がこれも遠見で、左から2軒目のお家の人が優しそうな個人商店だったと言っていた。

小さな集落だからか物語によくある冒険者ギルドや宿屋などはないようだ。


「こんにちは〜」

少年の助言に従い、左から2軒目のお家に声を掛ける。


「はいはい。こんにちは。いらっしゃい」

「あ、初めまして。突然すみません。こちらって買取はしてますか?」


「買取? 物によるわね〜 どんな物を持ってるの?」


「あの。これなんですけど」

とりあえず、片手で持てるだけ持ってきたさつまいもとポケットに入るだけ入れてきた綿に包んだ苺を出した。


「まぁ、立派なさつまいもねぇ。これなら物々交換OKよ。

もう一つの物は、綿? 質も良いしこれなら買取たいところだけどちょっと量が少ないわね。あら。間にあるのは果物かしら?」

「はい。イチゴって言うんですけど。もしよかったら一つ食べてみませんか。お試しに」

一応毒見も兼ねてまず私が一つ目の前で食べてみた。うん。甘くて美味しい。


「そう。なら一ついただくわね」

ぱく


「あまぁーい!」

どうやら喜んでくれたみたいだ。店員さんのほっぺがおちてる。これはいけるんでは? 期待しながら評価を待つ。


「これ全部もらうわ! 私が個人的に食べたい!」

「あ、残念ながらあまり持たないので、出来れば今日明日くらいで食べて欲しいのですが」

「大丈夫よ! 我慢しても今日中に食べ切る自信があるわ!」


店員さんはそそくさと全ての苺を近くにあったカゴに入れて確保した。とても気に入ってくれたようだ。


「で、何と交換する? そうね。イチゴが17個にさつまいもが6本だから

 綿もおまけでもらうとして……お客さんは何が欲しいのかしら?」


「まず服が欲しいです。誰でも着れるような調整が効くものがいいのですが。靴もできれば。

それからナイフか鎌ってありますか? 余裕があれば肉とかパンとか石鹸も!」


「そうねぇ。イチゴで私の昔の服と靴擦れして捨てようか迷ってたサンダルなら譲ってあげてもいいわよ。

あとは鎌ならちょっと古くていいなら、さつまいもと交換してもいい。

肉はちょっと無理ね。パンなら1つおまけで用意しましょうか」


「ありがとうございます! 十分です!

あの、またさつまいもが採れたら今度は石鹸とかナイフとか別のものとも交換してくれますか?」


「ええ。良いわよ。芋類は持つし、ここらじゃジャガイモは取れるけど、さつまいもはなかなか出回らないから売れるからね」


「よかったー またどうぞよろしくお願いします! あ。ちなみに葉物野菜も引き取っていただけたりしますか?」


「キャベツとかレタスかしら? そうね。

日持ちしないものは自分で村を回って交換してみたらどうかしら?

こんな小さな集落だから店はうちしかないのだけど、結構声をかければ交換に応じてくれると思うわ。出来れば、朝の作業が終わったくらいに来ると良いと思うわよ。

あなたはどこに住んでるの?」


ギクっ ついにきてしまったこの質問。


「実は旅の途中で仲間とはぐれまして。

そこで野宿しやすい場所があったので、そこにとりあえず弟と住んでるんです」


必殺口から出任せ!


「まぁ! 大変じゃない。この村には空き家もあるわよ。

村長に相談したら貸してもらえるかもしれないわ。一緒に行きましょう?」

「いえいえいえ。ほんとに何も持っていないので、山で手に入れた食材を売ることくらいしか生活できないと思うんです。それに弟がちょっと怪我をしていてあまり動かせなというかなんというか……」


「森にはそこまで強い野生動物でないけれど、やっぱり夜は危ないわ。

 怪我をした弟さんがいるなら尚更すぐに村に住んだ方がいいと思うけれど……」


「ご心配ありがとうございます。もう少し状況が落ち着いたら考えさせてもらいますね!

 ごめんなさい。弟が待っているんで早く帰りたくて……交換お願いできますか?」


「あら。ごめんなさいね。私ったら。すぐ用意するわね!」


お礼を言って笑顔で退散する。


親切なのは嬉しいけど、親切過ぎるのは困った。

どう考えても、彼は連れてこれないからなぁ。まだ髪が異様に長くて人外な見た目してるし。


人魚といえば海? 元気になったら海辺で暮らした方がいいのかなぁ。

でもなー肺は人魚で水の中でも息ができても、皮膚は人間だからまた水死体みたいになっちゃうだろうし……水の中での生活は無理があるとおもうんだよね。


それとも、私の能力を活かして森の中か、むしろ人が生きてない砂漠とか無人島とかの方が安全なのかなー

あーでもだめだ。人里がないとパンとか肉とか食べられないのは、ほんときつい。


どうしても三大欲求に弱いんだよね……私。

食欲。難しいなー


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連載再開までコチラの短編コメディはいかがですか?
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