5ー ご飯って、大事
「流石にそろそろ出ないとまずいかもしれない……」
ボスのドロップアイテムと宝箱に入っていたアイテムをざっぱにアイテムバッグにぶち込んで〈アドレナリン〉以外のバフをかけなおしてボス部屋から外に出る。
魔法の刻印が壁に描かれていて、それが照明としての役割をしているので松明無しでも進むことができたのは良かった。
「何か~手ごろで美味しそうなモンスターはいないかなぁ~ お、いた」
オークドラゴン。
普通のオークの最上位固体。
交配に種族という壁のないオークが、ドラゴンと交尾をしその子供が天文学的な確率でなれるといわれる。
そもそも出現しないので強さは分からないが、下位固体のオークキングでも軍が出るくらいだからそれ以上の強さはあると思う。
「まぁあの龍を倒せた今の私なら負ける気はしないけど。 【斬音】【多重演奏】」
【ジャキジャキジャキジャキ……】
たくさんの細かい音の斬撃が、オークドラゴンの体に斬撃を入れ、最後に首を飛ばす。
そして同時に、取り巻きにいた低ランクのオークたちの首も飛んでいく。
「――本当にバフどうなってるんだろ」
今わかるのは、ソロの方がパーティの時より強いってことだ。
少なくともあの龍よりは。
一番体の大きいオークドラゴンの死体を、さっき手に入った短刀を使っていい感じにさばいていく。
まさかこんなすぐに使うとは思わなかったけど、便利なのでよし。
流石に高位のモンスターで、魔石がとんでもなく大きかったが、難なく解体できた。
流石魔剣……というか魔短刀?
「オークドラゴンをさばいて手一杯か……むう、数が多いのも考え物だな…… 【ファイヤ】」
たくさんいたオークで燃えそうなものだけ剥ぎ取り、初級の魔法で火をつけ、オークドラゴンの肉を焼いていく。
その肉からは、良質な肉の油がしたたり落ちており、すごくおいしそう。
燃料を足しながらしばらくすると、表面がいい感じに焼けてきた。
「――いただきます。 ――うわぁ……これすっごく美味しい……」
こんなにおいしいお肉を食べたのはいつぶりかな……
空腹状態や、お肉がいいということもあるだろうけど、それを踏まえてもなお、美味しい。
「あ、あれ? 何で泣いて……うぅ……」
お肉に顔をうずめ泣きながら泣きながらお肉を頬張る。
私はしばらく無心にお肉にがっついていました。
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「ふぅ……お腹いっぱい……」
お腹はいっぱいだし、泣いてすっきりしたし、本格的にダンジョン脱出を目指そう。
一応ここからの道は分かっている。
オークドラゴンの魔石といった素材だけをアイテムバックにぶち込み、残りのオークを焼いていく。
こうしないとこの死体を餌に、高位のモンスターがわいてしまう可能性があるからね。
「さぁ、地上へ向かおうか」