3- 嘘、私のバフ、やばすぎ?
連続投稿3/4
「ぶち殺す」
『この狂人め! 地獄の業火に焼かれるがいい!』
姿の変わった龍の体からオレンジ色のオーラが漏れ出し、魔力の炎の渦へと姿を変える。
「〈耐火〉【多重演奏】」
走りながら中笛を吹いてバフをかけ、炎に難なくと突っ込んでいく。
そして腕に向かって中笛を一振りし、龍の腕を砕いていく。
「死ね。 【斬音】【爆音】【多重演奏】」
たくさんの音の斬撃と、爆発が龍の全身に襲い掛かる。
【斬音】の奏でる斬撃音と、【爆音】の奏でる爆裂音のデュエットにより、とうとう龍の体が地面に落ちる。
『ど、どうなっておる……この我が、この我がぁ!!!』
「――死ね」
中笛による渾身の一発で笛からドォォォォォォンという大きな音と共に、龍の体が大きく震え、その体を塵に変えていった。
【レベルが上昇しました】
「ハハハハハ、ハハハハハハハ!! ――へぁ」
高笑いと共に、私は意識を手放した。
・
・
・
「――記憶がない」
目の前には龍がいたはず。
なのに目の前にあるのは討伐報酬の宝箱と龍が落としたアイテムと、レベルが上がった残滓。
そしてボロボロ、コゲコゲになった装備達……
記憶がないといっても、完全に吹き飛んだわけではなく、無くなっているのは龍の攻撃を食らったあたりからだ。
「落ち着け……とりあえず目の前の敵は排除できたんだぞ……」
今すぐに死の淵に立たされるなんてことはないだろうし、落ち着いて考えよう。
まずは記憶がない理由から考えよう。
多分キーとなるパーツは私が付与した〈アドレナリン〉のバフ。
これがキマリまくって記憶が飛んでるんだろうけど、私のバフに記憶が飛ぶまでの効果は無いはず。
――うん。 保留。
そして絶対に死ぬ攻撃を何で耐えられたか……
防御バフ? でもそんなに高い倍率は無いはず……
「もしかして」
試しに<攻撃 小>のバフをかけて、中笛で地面を殴る。
――ドゴンという音と共に地面に笛と同じサイズの穴が開いた。
仮にもあの龍の攻撃を耐えられる構造物、そんな簡単に壊れていい物じゃないはず。
「――倍率がおかしい?」
一体いつから?
でも、これで記憶が飛んだ理由も、〈アドレナリン〉が高倍率で作用してとんでもないことになったって言うことで腑に落ちるね。
――〈アドレナリン〉はいざというときに使うことにしよう。
記憶が飛んだら困るからね。
「はぁ……ソロでボスを倒せるってことはこのダンジョンのモンスターよりは強いってことだね。 ――実感はわかないけど第一関門は突破したんだ!」
ここのボスの出現が早いといっても1日くらいなら大丈夫だし、宝物も盗まれる心配はない。
「にしても疲れてきた……少し寝よう……」
そういえば、追放されたのって夜だったっけ……
下の星の一番右をタップしてくれるとうれしいな