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ティラミス女子高生

作者: shimabu-

「ティラミスを下さい!」

周りにお花畑ができそうなほど眩しい笑顔を向けながら、その女子高生は注文した。


ここは、小洒落たイタリアレストラン。

隠れた名店、というほどでもないが地元の人には人気で常連さんも多くいる店である。


その常連のなかで、料理は頼まずいつもティラミスばかりを頼む女子高生がいる。


名前は知らないが制服からここからそんなに近くないところの高校の生徒だろ。


「またティラミスですか。

たまには他の料理も食べて欲しいんですが…」


僕はティラミスが嫌いだ。

幼い頃、何かイベントがある事に母が作ってくれたことを今でも覚えてる。

しかしそんな母は父と離婚し家を出て行ってしまった。

そんな苦いことを思い出すから避けていたが、この女子高生がお店に来るようになり、必ず頼むせいでいやでも思い出してしまう。


「どうしてティラミスばかり頼むんですか?」思わず聞いてしまった。


女子高生は一瞬キョトンとしたが、

「ティラミスの名前の由来知ってる?

元気出してって意味らしいよ!

私はここの美味しいティラミスを食べると元気がでるんです!」


胸を張り自信満々に答える彼女をみて、思わず笑ってしまった。


そういえば、母がティラミスを作ってくれる時は、僕が悩んだり、不安になっているときばかりだった。


ティラミスの名前の由来なんて知らなかったけど、もし母が知っていたのなら、僕に元気を出して欲しかったのかな…


「ありがとうございます」

そう彼女に告げて厨房へ戻る。


僕も久々にティラミスが食べたくなった。

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