【4話、ガールズトーク?】
ガールズトーク……1人でしかやったことないなあ……。
「サーヤだっけ、そんなに震えなくてもあたしが、この桃山 薫子が守ってあげるから大丈夫よ」
鬼を体育館へ誘導する役を暁と何を考えてやろうとしたのか分からない緑川が買って出た。
かなり慎重に動いてるようで、鬼はまだなのだろうと一息つくと、そう後ろから声をかけられる。
ワタシが震えている?それは寒さから震えている訳ではないとすると、恐怖か武者震いのどちらかだろうと心の中で嗤っているのは秘密である。
「「それは頼もしい限りね」」
「サーヤとしおんで綺麗にハモったねー」
ここは雰囲気を合わせて笑っておこう、早く馴染んで仲間意識を高めてから転ばせれば絶望的な顔になるだろうからね
「聞いていなかったけれど、今の名前にした理由とみんなの死へのこだわりって何?」
何気ないかもしれない話題を出す、こだわりを叶えたくてゲームに参加したプレイヤーであることを願いたいところ
「あたしは……天才柔道少女なんて言われてたからさ、親や世間からの期待が大きくて試合では負けられなかったから死に物狂いで稽古に励んできた。まだ1度も負けてないから、事故で死んだことにして無敗の天才のまま死にたいんだ。名前は少女漫画の勇気をくれる主人公から取ったんだ」
多分マトモな死にたい理由、派手な才能があるだけいいと思うけれど
「ウチは死に方なんでもいい。ただ死んだ後にパソコンとスマホを水に沈めてほしいだけ。名前はいつもオンラインゲームとかで使ってる名前だからしおんにしたの、本当の名前とは全く違うけどね。死にたい理由はイジメ受けて辛かったから」
死んだ後へのこだわりがあるということか、イジメはどこでも起きてなくすことはできないと胸を張って言える自信がある
「アリアは?」
「えっと……その……アリアの名前はなんとなくで……その……」
ずっとウジウジしているアリア、確かに可愛いかもしれないと思いつつある。
「むしろ……サーヤさん……は……?」
「ワタシは……」
ドォォォォン……
大きい音と共に巨大な蜘蛛の姿をした鬼が現れる、暁と緑川が必死になって体育館まで誘導したようで、とても疲れた顔をしている。
「作戦の通りにいくぞ!」
アオナミはこんなに大きな声を出せたのか、なんてことは放置しておく。作戦決行だ。
この重要な場面になってようやく緊張してきた、心を落ち着かせるために深呼吸をする
けれど深呼吸をしてもそう易々と心が落ち着くなんてことがあるハズもなく、バクバクと心臓の音が聞こえてくる
「あと6人、一気に仕留める」
誰にも聞こえないようにボソリとそう呟いたのだ
男子達あまり喋らなかったけれど、体育館に残っていたアオナミと灰崎はどんな気持ちで聞き流していたのか気になる……。