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4.そして姉妹は伝説になった

信濃と紀伊は完成しましたが、戦争は全く史実通りに進んでます。そして沖縄に向けてついに信濃と紀伊が出撃します。


大和に加え信濃と紀伊も居るので、さすがの米軍も手古摺ります。

「1944年10月に、信濃と紀伊は揃って完成します。その2隻が唯一参加した戦いが、坊ノ岬沖海戦です」


 きた!信濃と紀伊の強靭さを世に知らしめた伝説の戦いだ。


「完成から半年後の1945年4月、沖縄に来襲した米軍を撃退するために2隻は戦艦大和とともに出撃しました。勝ち目のない戦いなので水上特攻作戦だったとも言われていますが、そんな事は無かったと私は信じています」


 その通りだ。俗説では片道分しか燃料を積んでいなかったなんて言われているが、実はすべての艦がちゃんと往復分の燃料を積んでたんだ。実際に信濃と紀伊は帰ってきているし。もっとも戦闘機はほとんど搭載していなかったけど。


「これを迎え撃った米軍は空母11隻を中心とした大艦隊でした。ここから日本艦隊は四波のべ500機を超える敵機の大空襲を受けました」


「瀬川さんは怖くなかったのですか?」


 俺はまた思わず聞いてしまった。


「信じられないかもしれませんが、怖くなかったですね。あの時は、この船が沈むなんて考えもしませんでした。事実この通りちゃんと帰ってきていますし。さっきも言いましたが、戦闘中は無我夢中で弾薬を運んでいただけですから、怖いと感じる暇もありませんでした」


「そうですか……」


 怖くなかったとは信じられない話だが、こればかりは当事者にしか分からない事なのかもしれない。


「これは空襲中に米軍が撮影した写真です。これが大和、これが信濃、これが紀伊です」


 瀬川さんが壁の写真を指示した。そこには爆弾の水柱が林立する中で回避運動を続ける3隻の巨艦が映っていた。


「4度にわたる空襲で、紀伊は5本の魚雷と4発の爆弾を受けました。信濃も6本の魚雷と3発の爆弾を受けています」


 可哀そうな話だけど、信濃と紀伊が経験した唯一の海戦で2隻に期待されたのは艦隊防空じゃ無かった。そもそも戦闘機もほとんど積んでないから、やれと言われても土台無理な話だ。


 両艦の任務は、大和を沖縄に届けるための被害担当艦。それに尽きた。攻撃する米軍から見ても真新しい2隻の大型空母はさぞや目立ったことだろうね。そして日本側の目論見は大当たりしたんだ。


「信濃と紀伊が米軍の攻撃を引き付けたおかげで、大和の損害は魚雷2本と爆弾2発で済みました」


 陸奥爆沈の対策効果と攻撃が分散されたおかげで3艦は大空襲を耐え抜いた。シブヤン海で武蔵は沈むまでに魚雷を20本以上受けてる。だから魚雷2本なんて大和にとっては掠り傷だ。


 第58機動部隊の指揮官ミッチャー中将は日本艦隊を仕留めきれず無念だったろうね。でも四度の攻撃で爆弾はともかく魚雷が底をついてしまったんだ。もうどうにもならない。


「航空機で日本の艦隊を阻止できないと判断した米軍は砲戦で決着をつけようとしました」


 おっと、また脳内解説している間に瀬川さんの説明が進んでしまった。


 ミッチャーは一旦後退して補給を行って翌朝に再攻撃する事を希望した。だけどスプルーアンス大将は許可しなかった。この時にはもう日本の空母が空船のブラフだと見抜いてたし、スプルーアンスは大和を戦艦で仕留めるつもりだったからね。


 そもそもスプルーアンスはミッチャーに空母を狙う様に指示してたんだ。それを勝手に全部沈めてやろううと欲張ったミッチャーが悪い。自業自得ってやつだ。


 とにかく、ついに大和は悲願である敵戦艦との砲戦を行うチャンスに恵まれた訳だ。まぁスプルーアンスも同じ気持ちだったんだから、もう相思相愛ってやつだね。


 午後に米軍の空襲が止むと、伊藤長官は被害担当の任を十二分に果たした空母部隊へ反転帰投する事を命令したんだ。


「その結果、信濃と紀伊は日本に帰ってくることが出来ました。一方大和はそのまま沖縄に向かって進撃を続け、翌日に米軍の戦艦部隊と戦闘になります」


 きたー!いよいよ沖縄沖海戦だ。、大和最強伝説を決定づけた伝説の一戦だ。


「この戦いで大和は米軍の6隻の戦艦と戦いました。その6隻すべてを撃沈するという敢闘をみせたものの、最後は徳之島沖に沈みました。この詳細はお隣の大和ミュージアムでお聞きください」


 え、そんだけ?簡単に説明済ませちゃうのね。あーそう言えばここは紀伊ミュージアムだった。大和の詳しい話はあっちで聞けって事か。まぁ明日行くからいいか。


 米軍はデヨ少将の指揮する第54任務部隊の戦艦6隻で大和を迎え撃ったんだ。巡洋艦と駆逐艦も合わせれば34隻もの大艦隊だ。普通はこれで大丈夫だと思うだろ。でも相手が悪かった。スプルーアンスもデヨも、もし大和の性能を知ってたらミッチャーに全部お任せしてただろうね。


 悪いことに大和に向かった6隻の戦艦は、全部旧式の戦艦だったんだ。ウェストバージニア、メリーランド、コロラド、アイダホ、ニューメキシコ、テネシー……これで大和と戦うってもう罰ゲームとしか思えない。いくら近代化改装をされてても地力は変わらないからね。


 日本にしては珍しく電探射撃で先手をとって、米戦艦6隻、重巡2隻、駆逐艦2隻を仕留めた大和だったけど多勢に無勢。最後は駆逐艦や巡洋艦に接近されて魚雷をたくさん撃ち込まれて、力尽きて大爆発して徳之島沖に沈んじゃった。


 これまでの戦いで主砲以外の砲はほとんど潰されてたし随伴してた艦もほとんど壊滅状態だったから接近を防げなかったんだ。仕方ないよね。


 これで日本側の作戦は完全に頓挫した訳だけど、知らない人に損害だけを見せたら、どっちが勝者か絶対間違えるわ。それ程異常な戦果だ つまり大和は敗北したけど伝説となったんだ。


 お蔭で戦艦が登場するゲームで大和型は必ずパラメータがおかしい壊れユニットになってる。最近流行の戦艦ゲームなんかじゃ大会で使用禁止にされる程だ。逆に高難易度のイベントマップじゃ大和型ばっかり使われるらしい。


 悔しがり屋のアメリカ人は、アイオワ級が居れば楽勝だった!ってほざいてるけど、あんなヒョロガリが大和に勝てる訳ねーだろ。だいたい多少装甲が厚くても46cm砲の前には差がありませんから。


 50口径16インチ砲なら大和の装甲を抜ける?いやいや初速上げたせいで却って水平貫通力が落ちてるでしょ。そもそもその初速って嘘っぱちだよね。散布界もメタメタだし。SHS使えば勝てる?うん確かにそうだね。射程の短いSHSを撃てる距離まで無事に近づければね~残念。

大和の戦果はまぁ盛ってますが、無傷に近い状態の大和に旧式戦艦だけで挑んだら、只では済まないと思います。史実のデヨ少将は戦わずに済んでよかったですね。

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