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最後の1日  作者: hyo
第2章
7/16

08

「届くといいなぁ。」


ベースの調整をしながら、消えそうな声で大輔が呟いた。


会場に着いた4人は、早速機材チェックからスタートした。

幸い電源は通っている。他の機材も全く問題なく、無事にライブは開催できそうだ。

お客さんが来るかは、ホームページにコメントをくれた数人を除いて全くの未知数だったが、この際箱の埋まり具合など気にしてもしょうがない。


会場の管理人は最後の日くらいゆっくりさせてよと、4人に鍵を渡すなりさっさと帰ってしまった。

気が向いたら本番は見にくるよなんて言っていたが、本当に来てくれるかは定かではない。

「届くも何も、誰のためのライブよ。届かせないとダメでしょ。」


俊は早くもスイッチが入ったようだ。

いつもそうだった。いつもはゆるゆるなのに、本番が近くなりスイッチが入ると急にリーダーっぽくなる。


「そういえば、春奈つかまった?」


俊の言葉に、ホームページをチェックしていた宏樹は首を横に振った。


かつてのマネージャーとは、解散から連絡が途絶えてしまっていた。

あの日から。

春奈は最近は滅多に地元に帰ってきておらず、東京へ行ってから1度も、会うはおろか連絡すらしていなかった。

解散の際に喧嘩にになったことが、ここまでお互いを疎遠にさせるとは、あの頃の自分たちは思ってもいなかっただろう。

今回久々に集まることで、SNSやメールで連絡しようと試みたが、結局既読もつかなかった。


「ホームページ見て、ふらっと来てくれたりしないかなぁ。」


「もしあいつがホームページ見てたら、今頃はここで色々手伝ってくれてると思うよ。まさか本番だけ観に来るなんて、絶対ないね。」


大輔の寂しそうな顔に、俊は何て返していいのかわからず、俯いた。

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