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最後の1日  作者: hyo
第2章
13/16

14

会場には思ったよりも多くお客さんが入っていた。

舞台上から見れば、後ろの方まで満遍なく埋まっているように見える。

ただ実際は一人一人の間にかなりの隙間があるから、会場のキャパシティでみると半分くらいの埋まりぐらいだろうか。


皆がワンズのファンというわけでは決してない。

俊が見える範囲では、知った顔はほとんどいなかった。

宣伝なんてホームページに乗せた程度だし、電車も動いていないのだ。

きっと会場近くに住む人が、動きのない毎日に飽き飽きして観に来たのだろう。


それでもよかった。

多ければ多いほどよかった。


その方が由美に、春奈に届くような気がするのだ。


今や今やとウズウズする観客に一度背を向け、俊はメンバーを振り返った。

宏樹は緊張で貧乏揺りを隠せていない。

剛が持つドラムのスティックは、俊が見てもわかるほど小刻みに震えている。

大輔は堂々と立っているものの、顔にへばりつけた笑顔はへの字に引きつっている。


これだけの人の前に立つなんて、みんな久しぶりなのだ。


3人の視線が、俊に集中する。

スタートの合図を送るのは、俊の役目だ。


「いくぞ。」


俊の合図に、剛がスティックを振り下ろす。

観客の大きな声援が舞台上に、俊の耳に届く。

俊はくるりと観客に向き直り、叫んだ。


「最後の1日、盛り上がっていくぞ!」


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