例えばの話
例えば、このまま君は終電を逃しどうしようと笑うとするだろう。
そして君はおふざけで上司に泊めてくれませんかって聞くんだ。
上司はニヤける顔を抑えながらわざとか、って呆れたように言うんだ。
君の内心は半分わざとだけど違いますよって茶化す。
タクシーを捕まえて二人は家へと向かった。
そこで君は初めて自分が女であることに気付いたんだ。
初めて異性に抱きつかれてどうだった。
初めてキスをされてどうだった。
初めてお姫様抱っこをされてどうだった。
初めて異性と抱きしめ合いながら眠りについてどうだった。
初めて帰り際にキスをされてどうだった。
どれも優しく気持ち良く、忘れられないだろう。
だから今、上司に相手にされないことがとてつもなく悲しいだろう。
泣く事はないさ。これは例えばの話なんだから。