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逝ってらっしゃい!〜異世界でマッサージ始めました〜  作者: zena
第一部 『二人の姉妹』編
6/15

白夜騎士を揉む そのニ

フレイはいなくなった。

そして少女騎士様と二人きり。


くされ外道の腕がなるってもんだ。


たが何故大腿部のつけねなんだ?

よもやよからぬ体勢でもしている訳ではないよな、こんな少女が。


「入念に」


意図せず少女騎士様の言霊もとった。

大腿部のつけねとはいえすぐそこには柔らかそうな桃がある。

間違って手でも滑ったら大変なことになってしまうのだろうが、俺は大概大事な局面で手が滑ってしまう男だ。


呪うなら俺の運命を呪え、少女騎士様よ。


そして、俺の新技も披露してやろう。

白色のマッサージに時折ピンク色を混ぜるという新技を。

こうしてしまえば気持ちいいマッサージの延長として合法的に性欲もわずかずつ刺激できるのだ。

なんという神技。


この表情に乏しい少女騎士様はどんな反応をしてくれるやら。


ではまず白色から始めよう。

ごくりと俺は涎を飲み込み、大腿部に手をやる。


もみもみもみもみ、もふ・・もふ・・もふ・・


な、なんだこれは?!

尋常じゃない程に凝っている?!

それになんてことだ。

俺の握力はもう限界を通り越して力が入らない。

どうする?続けるか?

しかし揉めないことにはマッサージの効力が出ない。

だが、ここを逃せばチャンスは二度とこない。


あぁそうだ、俺はやってやる、やってやるぞ!!


「あ、」


は、はいいっ?!

急に少女騎士様が声を発したため上ずった声で返事をしてしまう。


「もういい」


え、何故だ?邪な気持ちを悟られたか?


「約束、思い出した」


用事があるんですかとの問いに、こくんと頷いた少女騎士様。すっと立ち上がり帰り支度を始めた。


俺の握力も万全ではなかったし、このままではマッサージの効力が出なかったかもしれない。そう考えると少女騎士様が今は帰ってくれる方が俺自身も助かる。

マッサージの効果があるからこそ、俺は合法的に揉めるのだ。

少女騎士様の言葉に冷静になって考えると、俺は取り返しのつかないことをする所だった。


だが惜しい、惜しすぎる。手に少女騎士様の感触が残っているだけに。


「また、くる」


そうか、またきてくれるのか。なら今は身を引いておこう。


そうして白夜騎士などと言われる少女騎士様は、その日は帰っていった。

フレイが店に来なかった所をみると、途中合流して一緒に帰ったのかもしれない。


しかしだ。料金、どうなった?


その後俺は恥を忍ぶこともなくフレイの屋敷に行き、食事を恵んでもらうのだった。


◇◇◇


三日後、少女騎士様はなんと連れを三人連れてやってきた。


全員男達だ。全くもって興味ないが、歴戦の強者ともいえそうな迫力があるもの達だった。


「約束、またきた」


男達には目もくれず、調子はどうですか?

少女騎士様にそう聞くと


「ん、いい。」


無表情には変わりないが少し明るい表情で返事をしたように見えた。少しだけ心を許してくれたのだろうか、そんな考えに至り少女騎士様に好感を抱いてしまう。


「こいつがお前の言ってた整体師か?」


男の中の一人、ハゲ頭の男がお前などと呼び捨てにして馴れ馴れしく少女騎士様に尋ねる。


ああ、俺はこういうシチュエーションが一番嫌いだ。

自分の気になっている女子と話をしていたら、後ろから俺の知る由もない男子達が親しげにその女子に話しかけ俺のもとから女子を奪い去っていく。

そんな感じに今は似た状況であるような気がした。

くそ、帰れよ。


「そう、彼」


「弱っちそうなやつだ。息吹きかけたら飛んでいきそうだな。」


ガハハハと笑ったハゲには殺意が芽生えたが、俺みたいな弱者などかほどにも相手にならないだろう。


「失礼、彼はすごい」


少女騎士様の言葉にすごく励まされた。客なんて全然こないが、分ってくれている人は分かっていてくれる、それだけでも十分嬉しかった。

少女騎士様のお言葉に、そ、そうかとハゲがたじろいでいた。ざまぁ。


「前の続き」


どうやら少女騎士様やり残した部分のマッサージをご所望のようだ。

右腕や左膝も今は淡い光に留まっている。


分かりました、ではこちらへ。


そう言って少女騎士様をベッドへ誘導する。

男達はどうにも俺に厳しい視線を送っている。

なんとかっていうパーティーの紅一点らしいから、邪魔者が寄り付かないよう見張っているのかもしれないが、うざったいことこのうえない。

お前らはそこで少女騎士様が俺に揉まれる姿でも見とけ。


そう言って俺がマッサージをしようとした時思いもよらないことが起きた。


『ピュイ?』


ラクルが店の中に入ってきたのだ。客が全然こないから今日も俺一人店の中にいるんだろうと思ったのかもしれない。


男達の目つきが変わった。

敵対するものは排除する、そんな目つきだ。

ラクルは最弱のスライムといえ、魔物。


やばい


へっ?とでも言っているかのようなラクルの馬鹿面。

もっと注意しろよとお灸を据えてやりたい感情もあったが、男達に消し飛ばされてしまうのではないかという恐怖感に襲われた俺はとっさにラクルの身をかばうように飛び出し、覆いかぶさった。


『ピュイ〜?』


なに〜?みたいな呑気な声を出すんじゃねぇよお前は。


頼む、話しを聞いてくれ。

そう言おうとしたのだが、男達は已の腰に携えていた剣を既に抜いていた。

その迫力に気圧された俺は声を出すことができなかった。


『貴様、どけ!』


男の中の一人、怒髪天のような髪型のやつが叫ぶ。


ひっ、と悲鳴とも言えない悲鳴をあげた俺。

力がないなりに何とかやっていこうと思っていたのだが、今回ばかりは何の力もない自分を恨めしく思った。

だがラクルは最早俺にとってはかけがえのない存在。何としても守らなければならない。


声は出なかったが、何とかぶんぶんと首を横にふることができた。抗うすべもなくただ涙目になっている俺は、なんと女々しいやつだろう。


「剣、下ろして」


少女騎士様が口を開いた。


「だけどよ」


ハゲが反論しようとした時、一瞬にして店の中の空気が変わった。


少女騎士様が恐ろしい程の殺気を男達に放った。俺に向けられていたのではないことは分かった。少女騎士様は自分の剣をハゲの首筋に突き立てていたのだから。いつ剣を抜いたか分からなかった。そもそも少女騎士様は剣を持っていなかった。何かの能力なのかもしれないが、急に殺伐とした雰囲気に息することさえ許されないような気がした俺だ。


「わ、分かったって」


ハゲの言葉に他の二人もすごすごと剣をしまった。

少女騎士様が俺を真っ直ぐ見つめる。


「大丈夫、おいで」


どうやら俺ではなく、俺の後ろにいたラクルに視線を向けていたらしい。


『ピュイピュイ〜』


呆気なくラクルはぴょんっと少女騎士様の胸に、ハインツの胸に飛び込んでいった。


可愛かわい」


『ピュピュ〜』


「貰っていい?」


駄目です。即答で。


むぅ、という表情をしたハインツだが何故助けてくれたのだろうか?


「続き」


ちっぱいにラクルを両腕で抱えたハインツは、何事もなかったかのようにマッサージを続けろという。

ラクルの命を助けられたのだ、紳士に、誠意を込めてやろうと思った。


釈然としない顔の男達は待合室に押しこめ、ハインツのマッサージを行う。

マッサージをされている間ハインツはラクルを指先でちょんちょんしながら戯れていたのだが、一時間した所で眠ったようだ。

寝顔は騎士の面影もなく可愛らしい少女であった。

ラクルもゼリーが溶けたかの如くハインツの横で寝ていたのだが、不思議とその光景に心が穏やかになった。


三時間後、ハインツの大腿部の光は消えた。

俺がとろけてなくなってしまう程の疲労感に襲われたが、それでもハインツの桃を特等席で凝視したおれは満足感でいっぱいになっていた。


またきてくれたら、問答無用で新技のピンク色を交えたマッサージをしてあげよう、心にそう決めた。


その日から、ハインツは俺の店の常連客となった。


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