プロローグ
クレアの屋敷の玄関前でやりあうのは気が引けるけど、ここでやるしかなさそうだ。
ロリ巨乳がすんごい力をくれたらしいから、いかんなく使わせてもらおう。
「さっそく死ね! 来たれ、ライトニング!!」
ダンケンだっけ? 奴の上空の雲が光りはじめ、雷が落ちてきた
バリバリバリバリ!
「アバババババババ!!」
プシュー
「はぁ・・・」
思わず頭を抱える。もちろんアババったのは俺じゃない
「ゲホゲホッ。アハハ、君にはライトニング一発ぐらいのハンデがちょうどいぃ」
「さようでございますか、、」
フラフラじゃん。せめて自分には当てるなよ・・・
「これはどうだ! ファイアボール!」
ダンケン?が手を前にかざすと、火球が出現する。すげー!ライトニングといい、ファイアボールといい、本当に魔法が存在するんだな!
ところが・・・
バッシャー
「申し訳ありませーん! バケツの水をこぼしてしまいましたー!」
屋敷の2階からボタン掛け違えメイドさんが顔を出す
あらまぁ、まるで図ったかのようにダンケン?が水浸しになってるじゃあーりませんか
「アハハ!アハハハハ・・・。本当に運が良い奴だ、、。あのメイドがクレアに仕えていなければ確実に殺していたところだぁ」
「メイドさんナイスぅ!」
ボタン掛け違えさんにgoodポーズをする
「え? え? なんのことです??」
「アウラ、いいから屋敷に戻ってなさい。」
「かしこまりました。クレア様!」
クレアの一言で中に戻っていった
「もう容赦はしない。僕もあまり血を見るのは好きじゃないが、五臓六腑まき散らして死ね!」
ダンケン?が剣を抜き、俺に向かって思い切り振り下ろす
パシッ
「なにぃ!?」
「え!?」
ダンケン?が驚くのはわかるが、なんとなくやってみて本当に剣を掴めてしまった俺の方がビックリだよ!
「ぼ、僕の剣を素手で掴むなんて! 貴様!何をした!?」
「し、知らねぇよ、、」
危険を察知したのか、ダンケン?が素早く後ずさる
「こんなに強い奴だったら王都にも名前くらい届いているはずだ! 何者だ!」
「タクミだけど、、」
「タクミ? 変な名前だな、聞いたことないぞ」
「おい!人の名前しれっとディスってんじゃないよ!」
「こ、こうなったら、最大魔法で消し飛ばすしかない! エアプレス! ふんっ!」
ダンケン?が両手を突き出し、力を貯め始める。
そういえば、俺って魔法使えるのか? ちょっとやってみるか。手を前に出して
「ふぁ、ファイアボール?」
ズォン!!!
「お、おわっ!」
俺はダンケン?がやったみたいにバスケットボール大くらいの火球ができるのをイメージしていたんだが、実際は自分の身体が包めるくらいのビッグサイズだった。
「な、ななな、なにぃ!」
火球越しにダンケン?の叫びが聞こえる。って、こんなの飛ばしちゃったらどこであろうとただじゃ済まないぞ!
「く、クレア! これどうやって消すんだ!?」
「わ、わわわ!私か!」
「そうだよ! 他にいないだろ!」
「すまない! あまりの出来事に思考が止まってしまっていた!」
「いいから、このファイアボールの消し方教えてくれ!」
「魔法は専門外なんだ! なんとかがんばってくれ!」
「ま、じ、か!」
やべ! ファイアボールが手から離れる!
左は屋敷、右は庭、なら上しかない!
「うぉおお!!」
離れかかっているファイアボールを全力で上に向ける
ズン!
なんとか斜め45度くらいで空めがけて飛ばすことができた!ファイアボールはそのまま上空で消滅した
「はぁ、はぁ、なんとかなったか・・・」
「ひ、ひ、ひひひ、、」
前を見るとガタガタ震えているダンケン?の股から液体が滴っている。そしてファイアボールがかすめていったのか、頭の真ん中の縦ラインがきれいさっぱり禿げ上がっていた。
「ご、ごご、ごめんなさいー! どうか、どうか命だけはお助けを!!」
「二度とクレアと俺に近づかないでくれ、それだけ。できる?」
「はい!はいー!」
ぴゅーん
「おい! 青春の涙が地面についてってんぞ・・・。まぁ、いっか」
思わず尻もちをついてしまう
いやぁ、まじで焦った! これは本当にすんごい力だぞ
「タクミ!」
「どうした?」
「わ、私は・・・情けない!!」
チャッ
「おいおい何やってんだ! 首に刃なんか突きつけて!」
「私はタクミを、我が夫の凄まじい力に全く気付けなかった上に、あろうことか勝負に勝てないと思い込んでしまった! 不覚!一生の不覚! 剣の道を歩んでいる女として、自分の命でこの恥に報いなければならない!」
「そこまで思いつめなくてもいいって! ここは弱そうに見えて実は強かった事に胸キュンするとこじゃないの!?」
「いや、そういうわけには! 私の命で許してくれ!」
完全にパニックになっている。こうなるとクレアの真面目さが逆に面倒だな、こうなったら
「うるさい! 旦那の言うことが聞けないのか!!」
「え?」
「お前は俺の女だ! 剣姫なんて関係ない! 俺より先に死ぬことは許さんぞ!」
「タクミ・・・」
「魔王を倒せば剣姫なんて必要なくなるんだし、そしたら剣なんて捨ててのんびり生きていけばいいじゃないか」
「男からそんな事言われたのは生まれて初めてだ。」
「剣を置いて、こっちへ来い!」
「うん! タクミ!」
「クレア!」
タッタッタッ、ステン!
ゴチン!
「あぎゃ!」
「うげ!」
せっかく良いシーンだったのに、見事につまづいたクレアに渾身のヘッドバッドをおみまいされたよ。トホホ、、
そんなこんなで、プロローグをなんとか乗り越えることができた。成り行きとはいえさっそく自分からクレアにプロポーズをしてしまったわけだけど、不思議と清々しい気分だ。今思えばクレアに出会ったあの瞬間、俺自信も何かビビッと感じていたのかもしれない。ポンコツがなんだ! そんなもの生まれてからずっとあの家族を相手に生活してきたじゃないか! ロリ巨乳の言っていた”素養”っていうのはこのことだったんだろ、たぶん
だって魔王ですらあれだもん
いや本当に、飛ばされた異世界の奴らがマジでポンコツすぎるーぅ!!