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街案内と魔王

外に出るときれいな青空が広がっていて、思わず大きく腕を上げて伸びをする


庭もかなり大きいな、ハリウッドスター並みじゃないか。さすが剣姫の屋敷ってところか


ぶらぶら散歩していると”ハッ!てやっ!”っと何かしているクレアの声が聞こえる


向かってみると、剣を構えたクレアが素振りをしていた


「おぉ・・・」


思わず見とれてしまうくらいの美しい立ち姿、華麗な剣さばき、鋭い眼差し、光る汗、まさしく剣姫の姿だった。


「タクミじゃないか、早いな。・・・・・タクミ?」


「あ、あぁ、ちょっとボーっとしてた、おはよう。朝から稽古してるんだな」


「日課というか、癖みたいなものだな。これをしないと私の1日は始まらない」


「めちゃくちゃかっこよかったぞ」


「な/// あ、当たり前だ! 私は生まれた時から剣の道を歩んできた女だからな! だが・・・」


「だが?」


「今まではそれで良かったのだが、今は違う。私はかわいくなりたい、タクミにかわいいって言ってもらえるような女になりたいのだ!」


「別に、かっこいいからかわいくなれないって事は無いと思うぞ。剣を持てば美しく、ドレスを着れば可憐に。クレアならできると思うし。っていうか、イマモカワイイっていうか、、#$%&’」


「うん? なんだって?」


「い、今も十分かわいいんだよ! 言わせんな恥ずかしい!」


叫んだ後顔を背けてしまう。くそ!俺はクレアに振り回されてばっかりだ!


「タクミー!!」ガバッ


「な、なんだよ!」


「私、がんばるから! タクミの嫁としてふさわしくなれるように!」


「いいのか俺なんかで。身元不明だぞ? 結婚するには怪しすぎるだろ」


「確かにそうだが、たぶんタクミじゃなければお風呂場であんな事があっても結婚を申し込む事はなかっただろう。 君を一目見た瞬間、なんか、ビビッときたんだ、女の勘というやつだ」



「女の勘か」


「そうだ!」


「俺もがんばる。クレアに失望されないように」


「勝負だな!」


「剣じゃ勝てないけど、それ以外なら全部勝つからな」


「それでこそ私の旦那だ」


後ろから抱きついてきたクレアはとても熱く、そして少しエッチな匂いがした。


その後2人で屋敷に戻り、クレアは朝風呂に、俺はボタン掛け違えメイドさんに連れられて屋敷の案内をしてもらった。


朝食を取り終わって、クレアに街を案内してもらうことになった


「ここはペトルという。王都からけっこう距離があるのだが、私たちが街を守っているから安全だ。」


「なるほど。戦士ってこの街にどれくらいいるんだ?」


「私はヒーラー兼ウィザードのマコとパーティを組んでいて、他に4組のパーティがこの街を防衛している」


「なるほど、分業制みたいなものか」


「そんな感じだな。襲撃された所に近いパーティが最初に対処して、もし人手が必要な場合は光の魔法を空に打ち上げることになっている」


「ふむふむ」


街を歩きながら説明を受けていると、すれ違う人々がひっきりなしにクレアに声をかける。有名人なんだろう


「さて、タクミ。今度はちゅうおうの、、」


ゴゴゴゴゴゴゴ


「な、なんだ!?」


とても穏やかに事が進むと思っていた矢先、急に暗雲が空を覆い始めた


市民も不安そうに空を眺めている


「私もこんな空は初めてだ!」クレアも動揺を隠せない


すると、ちょうど俺たちの真上にゲートのようなものが現れ、大きな黒い怪物が顔を覗かせる。クレアの表情が険しくなった


「まさかあれは、、魔王ハデス!!」


「魔王だって!?」


「えぇ。この世界を滅ぼそうと幾多の魔物を送り込み、四天王まで従える魔界の王!」


「なんだって? 魔界の王がいきなりのお出ましかよ!」


「くっ! 私も含め今のペトルの戦力では奴に対抗できるかはかなり厳しい、というより無理だ!」


「クレアでもダメなのか!?」


「今私が持っている剣、メルセデスは大昔より女神の加護を受けている。しかしあの強大な力に太刀打ちできるかはわからない!」


「まじかよ・・・」


「ここ500年間ハデスがこの世界に現れたことはなかったという! 私もハデスという存在は伝記でしか見たことはなかったから、正直信じてすらいなかったくらいだ。もはや一生会うことはないだろうと思っていたのに、、。」


空の怪物から低く轟くような声が発せられる!





『出るところを間違えてしまった』




え?




「お前がハデスなのか!!」全力で問いかける


『さよう、我こそが魔界の王ハデス。久しぶりだな人間どもよ!』


「この世界を潰しにきたのか!?」


『いやだから、間違えたと言っている!』


「ま、間違えた?」


『我が魔犬ケルベロスに餌をやろうとゲートを開いたら下界だったんだ!』



「このまま何もせず引き下がるというのか!!」


『あぁそうだ! こんな序盤に出てきて万が一負けてしまったらどうする? 先の展開に困るのは貴様らの方だぞ!』


「ぐぬぬぬ!! ・・・・確かに! わかった、行ってよし!!」


『じゃあの』


そう言うとゲートが閉じ、暗雲はすっかり消え去ってしまった



・・・



今のはなかったことにしよう、そうしよう

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