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パミパミマー♪

「タクミ~! 朝よー!起きてー!!」


「んあ? もう朝? 昼寝してただけだと思うんだけどぉ」


おもむろにスマホを画面を起動する


え? まだ夕方の6時じゃないか


「母さん、まだ夕方なんだけどー」


「え? そうなの? あっら! てっきり朝の6時だと思って朝食作っちゃったじゃなーい、オホホホホ!」


「オホホじゃないよ! 半日違うじゃん!」


「そんな小さいこと気にしてちゃ、良い男にはな、れ、な、い、ぞ♡」


「ごまかすな!」


はぁあ~。せっかく仕事が休みでゆっくりできると思ってたのに・・・


大きなため息をつく


俺の家族は俺以外こんな感じで、ポンコツだ


塩と砂糖を間違えるなんて日常茶飯事、洗濯物をゴミ箱に入れようとしたり、服を裏表で着たり、右と左で違う靴下履いたり、たまに病気なんじゃないかと本気で心配になることもあるけど、どうやら社会の中ではちゃんとやっているらしく、まだ悪い話を聞いたことはない


どうして俺だけまともに育ったのかは、津込つこみ家最大の謎だと言われている。


しっかり起きてしまったので仕方なくリビングに向かう。妹のクルミがソファでだらけながらスマホをいじっている


「クルミ、そこにいたのにどうして母さんを止めないんだよ」


「え? だって背中がかゆかったんだもん」


「関係ないよね!?」


「まぁ、いいじゃん。そんなことより、にいにアイス買ってきてよ」


「嫌だよ、それくらい自分で行け」


「靴を片方洗濯しちゃったんだもん」


「はぁ? なんで!?」


「タクミー! お父さんが道に迷ったらしいから連れて帰ってきてちょうだーい」


「これで人生という道を迷ってないのが奇跡だな・・・」


あぁもう、ここでクルミに行かせたら外国にすら行きかねない、俺が行くしかないか・・・


父さんに電話をしながら出発する


「父さん、今どこにいる?」


「おう、タクミか。目の前に病院があるんだが、わかるか?」


「あぁ、なんとなくわかったからそこを絶対動かないでね」


「自信無いな・・・」


「なんでだよ! しかもそこ、家通り過ぎてるから!」


「いやぁ、夕陽がきれいでつい走りたくなってしまってな~。父さんが子供の頃、”あの夕陽に向かってはしるz”」


ブチ!


もう、そのまま地平線の彼方まで走り去ってしまえ!


おそらく父さんがいるだろうと思われる場所まであと半分くらいか、ちょっと喉が渇いたなー。アイスは帰りに買うとして、せっかく目の前にコンビニがあるからジュースでも買おう


スマホをいじりながらコンビニの中に入る


「パミパミパミー、パミパミマー♪」


「え?」


「いらっしゃいませー!」


「いやいや、そうじゃなくて。誰?」


スマホから顔を上げると、白くて何もない部屋の中にいて、目の前にローブをまとった幼女が立っている



「聞いて驚け! 君はなんと! 救世主に選ばれましたー!パチパチパチパチー!!」


「質問に答えてもらえます?」


「プーっ、つれないなー。私は女神アテマ、君のいる世界のお世話をしている女神さ!」


「女神?」


「なーにー? その”全然女神っぽくないじゃん”っていう目はー。こうみえても女神の中じゃまぁまぁ偉い方なんだよ!」


「まぁ、いきなりこんな世界に飛ばされたということは、あなたは本当に女神なんでしょうけど。さっき救世主がどうのこうのって言ってませんでした?」


「ほんと、ニッポンのみんなはこういうことに不思議なくらい理解があるから助かるよ! そう、君には救世主となり、とある世界を救って欲しいんだ」


「俺、何もできませんけど?」


「”今の君”にはね。君には素養がある、その世界に行く時にはすんごい力を手に入れているから心配しないで! まぁ、ぶっちゃけそんな力いらないと思うけどね!」


「すんごい力?」


「そう、これから君が救う世界には当たり前のように剣と魔法があって。モンスターや世界を脅かす存在が普通にいるんだ。今の君だとちょっと苦労するかもしれないから、向こうで苦労しないようにすんごい力あげちゃうね!」


「拒否権は・・・」


「ない♪」


「やっぱり、、」


「ごめんねぇ。その世界が全体的にちょっとー、、わけありでね。このままだとめちゃくちゃになってしまいそうなんだ。今まで何人かに挑戦してもらったんだけどダメでね。ほっといたら私が神様に怒られちゃうから、君にはがんばってもらわないと!」


「なんかすごい、私的ですね」


「でも! ちゃんと救ってくれたら、私が君のお嫁さんになってあげる!」


「いいんですか? そんな事して」


「うん、君たち人間の寿命って長くて100歳とかでしょ? 私たち女神からすると瞬きするようなものだから、その間後輩にでも代わってもらえばいいだけの話だし、それに・・・」


「それに?」


「私がお嫁さんになれば必然的に女神の加護が与えられて、生きている間はずっと幸せになれるんだ。何より、ずっと歳を取らないお嫁さんがご奉仕してくれるんだよ~♪ 女神の奉仕を受けることができた人間は宇宙の歴史の中でも数人で、それはそれはものすごい快楽が待ってるんだよ~♪」


女神様が小悪魔のような笑みで近づき、僕の体をゆっくり撫でる。


見た目は幼いながらも、出るとこは出て、腰回りはしっかり引き締まっている。ローブを脱いだらすごいに違いない・・・ゴクリ


「君が救世主の役目が終わったら、私がお嫁さんになってさっきの場所に戻ってくるだけだから心配しないでね!」


ちょうど聞こうと思っていたことを先に答えられた!? この人、俺の考えがわかるのか? だとしたら、さっきのスケベ心もお見通しってわけか


「わ、わかりました。やります」


「ありがとうー! これは君にしかできないことなんだ、応援してるからね!」


「俺にしかできない?」


「それは・・・行ってみればすぐわかるよ! じゃ、がんばってね~」


なんだ! ものすごい力で後ろに引っ張られる!


「お、お、おわぁあー!!」


「いってらっしゃーい♪」


そのまま真っ暗な穴に引きずり込まれてしまった。


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