表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

あせる・1

星野一樹、小5の春。


5年生になった俺は新しい小学校に転入して、ことりちゃんは中学生になった。

ことりちゃんは、念願のイケメン先輩のいるテニス部に入ったらしい。

俺は転校先である通称『西小』のサッカーチームに入って、クラスでも少しづつ仲良くなれそうな友達ができた。

学校生活はびっくりするほど順調。

順調じゃないのは、ことりちゃんとの関係だけだ。


家が近くなったものの、小学校と中学校は方向が別。

しかもことりちゃんは部活に入ったから、帰ってくるのが遅い。

ことりちゃんがいないのに家に遊びに行く訳にいかないし。

近くなったはずの斎藤家が、ものすごく遠くに感じた。


同じクラスで仲良くなった月岡聡と一緒に、自転車で少し遠くの公園に遊びに行った帰り道。

喋りながら初めて通る道を進んでいると、大きな建物に気づいた。

制服姿の男女がたくさん歩いてる。あの日見た紺色に赤いリボンの制服だ。

『ここ…ことりちゃんとの中学校だ…』


「俺の兄ちゃんここ通ってんだ。しかも俺の兄ちゃんすっげーイケメンでモテモテなんだぜ。」

と、ちょっとひがんだ感じで聡が言った。

ま、まさか、テニス部のナントカ先輩じゃないだろうな…!?

「さ、聡の兄ちゃんって何部?」

「バスケ部だよ」

ホッとした。せっかくできた友達を憎むことにならなくて良かった。


「ほら、あそこ。体育館。バスケ部見えるだろ?」

通風のためにか扉の空いている体育館では、キュッキュと靴の音をさせてミニゲームをやっているようだ。

「あの5番。2年だけどレギュラーなんだぜ。」

「へぇー…確かにイケメンだ。」

身長は175cmぐらいだろうか? 手足が長くて目がぱっちりしていて、かなりモテそうな顔をしている。

「しかもバスケだけじゃなくて、勉強もできるんだぜ。ほんっと、比べられんの嫌だ。」

うーん、エリートが身内にいるのも大変なんだな。

俺んちは、陸上バカで全く勉強せず、たまの休みは一日中寝ている明日葉姉ちゃんで良かった。


「かえろーぜ、俺これから塾なんだ。」

聡に促されて角を曲がると、テニスコートがあった。

「あっ」

そこにはことりちゃんの姿があった。

ひらっひらのミニスカートではなく、短パンを履いていて、ちょっとホッとしたような残念なような気持ち。


片付けに入るらしく、女子と男子が入り混じって移動している。

ことりちゃんともう1人の女子が、顔を赤くしながら男子を見上げて、何か言葉をかわしたようだ。

『あいつが…イケメン先輩だ…』


直感でわかった。

なんで背の高いイケメンばっかり何人もいるんだよ!

中学校! わかんねぇ!

イライラしながら、聡を追い越して自転車を加速した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ