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ひみつ・2
チュッと触れた時間は、ほんの一瞬にも、だけど永遠にも思えた。
ことりちゃんの唇はいつものほっぺたと違い、少し冷たくてしっとりとしていた。
「し、信じられない…」
「だってことりちゃんが!」
「だってじゃなーい!!」
ことりちゃんは大きい目をさらに大きく見開いて、顔だけじゃなく耳まで真っ赤だ。
「ファーストキスはすっごいカッコよくて、すっごい素敵な人と、ロマンチックにする予定だったのに!」
そんな予定聞いてないし。今更遅いっての。
でも、ことりちゃんが他の人とチュー…ってか、キス?するのは嫌だな…。
そう考えると心が少しモヤっとした。
「ことりちゃん、もう一度していい?」
「は?」
まっすぐことりちゃんを見たけど、なんだか目線が合わない。
玄関につながる扉がある方に目線を投げたまま、わずかに聞こえる程度の小さい声で
「絶対の絶対に、誰にも秘密だからね?」
と呟いた。
いつもの秘密の行為に、一秒ぐらい触れるキスが加わった。
わずか一週間の暑い夏休み。
見つからないように気をつけて、隠れてたくさんキスをした。