第十話<地属性>のキーカードとは何ぞや
ある県のある街の、しかしいつもと違う場所。雑居ビル群の一角。一つのビル丸々がその組織の司令塔である。
それは<妖怪互助会>である。表向きは違う団体名を隠れ蓑にしている。堂々と妖怪の名を上げるには、現代社会は非寛容だからだ。それはさておき。
その一部屋、室長室に、少し背の低い一体の妖怪が呼ばれていた。
「それで、トカ鑑定士」
「何すか、橘室長」
背の低い妖怪、トカに橘室長と呼ばれた妖怪、橘ミストルテンは眼鏡を指で吊り上げ、問いかける。
「例の件は、どうなっているでありますか?」
「例の件というと、パッション郷関連の話でいいんすかね」
「それ以外にあるでありますか?」
視線の強度を上げてくる橘ミストルテンに、トカはあーやだやだ、と言わんばかりの様子である。
「一応、妖力の強度や指向性から、どういうのなのかの予想は大まかには完成しているっす。それでも全体からすると8割程度の予測なので、もうちょっとデータが欲しいとこっすけどね」
「そこは現況でしっかりしてほしい所でありますね」
はいはい、とトカはおざなりに返事をする。それに若干のいらつきを見せつつも、橘ミストルテンは言う。
「それで、<特殊1>の状態というのは?」
「ええとっすね。色々集めたデータによる予測が正しければ、まだ活発に動ける段階ではないはずっす。かなりの妖力を最初に使ったみたいっすから。で、どこかの妖力だまりに潜伏しているだろうというパッション郷の予測はあながち間違ってはいないっすね。それらしい妖力の動きは、現在さっぱり見当たらないっすから」
「それで」
という橘ミストルテンの機先を制して、トカが言う。
「どこにいるか、というのは、分からないが実情っす。なにせ使いすぎたからか妖力の痕跡が最初の爆発地点以外からは見つけられないっす。あの爆発で吹っ飛んだ可能性が高いっすが、どこに飛んだかも、全く分からないのが現状っす。パッション郷がやっているように、近寄りそうな妖力だまりを一つずつ潰す方が効率がいいかもしれないっすね」
「しかし、違う側面からの探査も必要であります。引き続き、情報の解析と痕跡の発見に努めるであります」
「分かりましたっす。それでは」
トカが退室する。橘ミストルテンは、それを確認して一息する。
が、すぐに息が詰まる。背後に気配があったからだ。その気配の主が声を出す。
「橘」
「なんでしょうか、会長」
会長、と呼ばれたモノが、先ほどまでトカが立っていた辺りにするりと出現する。見た目は見目麗しいといえる美女であるが、どこか退廃的な雰囲気を持っていた。髪を無造作に伸ばし放題にしているのが、そう感じさせる要因であろうか。
その気配で橘ミストルテンを威圧しながら、その髪長の妖怪は言葉を紡ぐ。
「出し抜けるのか?」
「それは、鋭意」
「気持ちだけでなんとかなるなら苦労はせぬが、まあいい。是が非でもパッション郷よりも先に、<特殊1>を妾の前に連れてくるのだぞ」
それだけ言うと、髪長の妖怪は出てきたのと同じようにするりと消え失せた。今度こそ気を抜き、眼鏡を外して目元を揉む橘ミストルテン。そして呟く。
「どいつもこいつも、でありますな……」
所変わって時も変わって、いつものサティスファクション都邸。そこに、トカがいる。犬飼美咲も一緒に居て、いつもの和室でトカのゲームプレイを見ている。
「あーもう、近寄られると頭こんがらがるっすから近づかんとってくれっす!」
「バレルスピナーはどうしても、溜めてない時が困るよね」
「移動するとどうしても鉢合わせの時が困るっすよ。どうしたものやら」
「相手が来そうなとこでは警戒して溜めておく、とかが一番じゃないかな? 咄嗟だとどうしようもないんだし」
「でも、そうすると移動のろのろだから、戦列乱しちゃうし」
「その辺りは、勘所を身に付けるのがいいわね。今押すべきか、溜めて待つべきか。その辺が分かるようになれば、スピナーの扱いに慣れた、と言えるでしょうね。それにスピナーなら後方支援した方がいいから、そんなに前に行かない方がいいわよ?」
そう言いながらサティスファクション都が現れた。続ける。
「で、誰かと思ったら、トカじゃないの。何なの? ミストルテンの使いにでもやってきたのかしら? またこの間みたいなことする訳?」
「その用ではないっすよ。というか、用はパッション郷様の方にあるんすよ。あなた様じゃありませんっす」
「そう。面倒事でないならいいわ。で、今パッションは……、美咲、知ってる?」
「ん? ああうん。今は部屋にいるはずだよ。トカさんが来る前におやつ持って行ったし、トカさんもさっき顔見せてたみたいだし」
「……ならなんで、トカはここで『スプラトゥーン』に興じてる訳?」
「ああ、少し時間がかかるから待っていてくれって。で、ちょっとちょっとのつもりで、結構がっつりしていたっす。たぶん、そろそろ」
その言葉にかぶさるように、声が聞こえる。
「トカさん。一応持ってきましたよ。とはいえ、これで再現できるとは限らないですが」
「それは承知しているっすよ。でもまあ、可能性があるものは一つでも多く潰しておく必要があるんすよ。上司の言っすが」
トカとパッション郷の言葉と、パッション郷が持つ袋から顔を出す、部屋にあったであろう小物の数々。それ見て、サティスファクション都は嫌な予感を覚える。何だか知らないが、これはまずい。そう、思う。
その思いのまま、サティスファクション都は口を開く。
「待ちなさい、パッション。トカ」
「へ?」
「どうしましたか、サティスファクション」
「一応、念の為に聞くんだけど、それで一体何をするつもり?」
「ああ、我が家が爆発した時の再現を」
「ジ・エンド!」
事も無げに言うパッション郷の頭に、サティスファクション都の謎の奇声と空手チョップが突き刺さった。距離は離れていたが、手をその分伸ばしての、一撃である。
「った! 何をするんですか、サティスファクション」
「それはこっちの台詞。というか何してくれやがるつもりよ、パッション。家が燃えた再現、ってまた家を燃やすってことじゃないの。そういうのは流石に止めてくれる?」
「……、ちっ。大丈夫ですよ。ここではしませんから」
「その間と舌打ちなんなのよ。というか、トカさあ、一体何の為にそんな危険なことを頼んでるのよ」
いきなりお鉢が回ってきたトカであったが、大変そっけない返しをする。
「それは企業秘密なのでお教えできないっす。さあ、パッション郷さん。ここが駄目なら他の所に行きましょう」
「そうですね。それならあの物件をついでに見に行きましょうか」
「話を露骨に」
「また幽霊とか出る物件なのかな!?」
二人の話に割って入ろうとしたサティスファクション都の抑えて、美咲が首を突っ込む。トカは一瞬びくりとするが、パッション郷は慣れたもので動揺をしなかった。
「そうですね。今回は確か幽霊が出る物件です。辺鄙な所にある廃病院ですから、万一燃えても問題はないです」
「やっぱり燃やすかもしれなかったんじゃないの!」
「だから、ここではしないって言ったじゃないですか。しつこい奴ですね」
それはさておき、とパッション郷は続ける。
「付いてきますか、美咲さん。前みたいに危険がありますよ?」
逡巡のある表情のパッション郷に対し、美咲は明快な答えを出す。
「駄目だったら駄目だった、だよ!」
「なんで、そんな破れかぶれなのよ」
呆れるサティスファクション都に、美咲は答える。
「世の中、絶対安全ってのは流石にないからだよ。リスクとリターンを考えて、あたしはリターンに重きを置いた。そういうことだよ」
その言葉に、逡巡の色だったパッション郷の顔が、明るくなった。そして、ふふふ、と笑う。サティスファクション都も匙を投げた。
「本当に一回死なないと分からないのかもしれないわね。全く」
そしてパンパンと手を叩き、呼ぶ。
「ニシワタリ。出てきなさい」
言うなり、声がする。
「ハイハイ。なんデスカ」
厭世的な声の方を見れば、この和室にいる全員の背後にあたる部分に、ニシワタリは現れていた。そのことに対して特に何も言わず、サティスファクション都は言う。
「美咲がパッションと廃病院にオカルトなことしに行くから、付いて行って危険な目に遭わないようにしなさい」
「へいへい。仰せつかりマシタ。これは報酬をちゃんともらいマスカラネ」
「それはまた後よ」
「偶には前払いでもいいと思うんデスケドネ。まあわかりマシタ。それで、どこへ行くんデス?」
「この街に廃病院って言ったら、あそこしかないっすよ。真我里山病院っす」
「ははー」
ニシワタリはそう言うと、美咲を見て続けて言った。
「あそこ、マジモノデスヨ? いいんデスカ?」
「尚の事!」
その答えに、ニシワタリとサティスファクション都は呆れ果てたようで、ただ溜息を吐くだけだった。
とある県のとある山奥。とはいえ、都市部とはそれほど離れていないそこは、その昔、市立病院があった場所だ。病院としてはそこそこの経営状態であったらしいが、都市部の再開発で立地のいい病院が生まれた後はあっという間に廃れ、今はただの廃病院と化してしまっていた。
たどり着いたその場所の雰囲気に。美咲は目を爛々と輝かせている。
「前は呪い、この間はスライム、そして今度は霊!」
「はあ」
「そうっすか」
パッション郷とトカはどうでもいいらしい。それよりも、と二人で何やら話している。
「ここもだいぶ妖力溜ってるっすけど……、……らどうする……」
「……好都合……消してしまえば……」
何か不穏な雰囲気の会話をしているようである。それを聞くともなしに聞いていたニシワタリは、そろそろいいか、とばかりに口を挟む。
「トコロデ、お二人さん。この病院のどこまで行くんデスカ?」
問いに、パッション郷が答える。
「一応、手術室ですね。そこが最も妖力が溜っている場所だそうですから」
「ということは、そこで幽霊に会う可能性も高いんだね!?」
「可能性が高い、ではなく、ほぼ間違いなくいます」
「やった!」
何がやったのかよく分からない、という顔になるニシワタリだったが、それだすると、と懸念を言う。
「そもそも、美咲さん。あなたはそこまで行くつもりなんデスカ? そこで、この二体が何かする予定であるわけデシテネ? そこまで居合わせるおつもりなんデスカ? これもまず間違いなく、厄ネタデスヨ?」
「それはそれでいいじゃない!」
なにがそれはそれでなのか全くわからない、という顔になるニシワタリ。どうやら止めても無駄のような雰囲気なので、後は自分がなんとかして守護るしかない、と腹をくくる。そして、無遠慮に廃病院内に侵入していく一同の列に加わった。
「へえ、話に聞くより雰囲気があるね! まだ日が高いのに」
そう喜ぶ美咲に、パッション郷はその様ほほえましく見ながら答える。
「なにせ、本物の霊が出る場所ですからね。妖力、この場合は霊の圧力という種ですが、それが建物の中に充満していますから、建物の劣化や印象の変化も早いんですよ」
へー、と納得する美咲。実際、建物内はかなり朽ちが進んでいる。コンクリートの壁はあちこち崩落しているし、床はひび割れているし、窓ガラスは残っている方が珍しい。変なカラーペイントもある。圧倒的朽ち果て感である。
「でも、本当にあるもんなんだね、廃病院の幽霊なんて」
「ええ。それも妖助が手を焼いているレベルの霊ですからね。とはいえ、出るか出ないかが全く法則性がないのが一番問題だそうですけれども」
「そうなんすよ」
と、トカが引き継ぐ。
「美咲さん、そもそも、ここに霊がでるって話、聞いたことあるっすか?」
「……、そういえば、確かに聞いたことないや。でもいるんでしょ? なんでなの?」
「単純な話っす」
と、トカが説明する。
「出た場合、それを見た人はここを生きて出ることがないんすよ。死体さえ見つからないんす。だから出た時の目撃者がいない。でも出ない時は全く気配すらないので、はずれだったというだけで人の口に上らないんす。だから、全然一部のマニアが本当にヤバいと逆張りしている程度なんすよ」
「なら妖怪互助会の人は、どうして知っているのかな?」
「それは単純すよ。妖怪なら生きて帰ったのがいた、ということっす。その情報で、ここにやばい霊がいるのを我々が知りえた。とはいえ、その妖怪も再起不能になってしまったらしいっすけどね」
「で、出るタイミングが分からないの? 今のこの雰囲気ならいる、とかあるんじゃないかな?」
「その再起不能になった妖怪は、今のこの感じの時、つまり霊の圧力が建物内を充満している時に遭ったとは、言い残しているんすけど、それでもそれ以後はそこに近づくと何故か薄れて消え去ることばかりなんすよね。だから、今回もその例に漏れない可能性の方が高いっすよ。パッションさんの言った通り、いるのは間違いないんすけどね」
「そうかー」
少し残念そうな美咲に、パッション郷は慰めの声をかけようとするが、その前に美咲はそのしょげた感じを払しょくする。
「でも、あくまで今まで会えなかっただけで、今回は会えるかもしれない」
すぐにポジティブな考えに移った美咲を見て、そして自分のしようとしたことにも思い至って、パッション郷は。
「……ふふふ」
と笑うのであった。
道中で特に問題となることはなかった。あちこちガレキや朽ちた机。椅子やベッドの残骸。何故か人形や果物籠。そういった諸々が落ちていた。それを踏み分け踏み越え進むと、手術室が見えてきた。
「着きましたね」
「圧力の感じは、うーん、やっぱり薄れてるっすね。さっきまでとは比べるべくもないっす」
何やら探知機のようなものを見ながら、トカはそう言う。対して、パッション郷はにべもない。
「美咲さんはいざ知らず、我々の目的はそこにはないからいいでしょう。では、入りますよ」
そういうと、パッション郷は手術室の半ば以上開いた扉をくぐる。そこにトカ、美咲、ニシワタリも続く。
手術室の中は他の場所と全く変わらない。つまり、朽ち果てている。手術室特有の物品は当然外されてどこにもないが、その名残の配線の後などが見て取れて、それが余計に無残な光景として映る。そして、霊はそこにはいなかった。
「やはり、今回もでなかったみたいっすね」
「なら、やることを済ませてしまいましょう」
パッション郷はそう言うと、持っていた黒い袋から何か曰くありげな物品を取り出し、置き始めた。
「しばらく我々はこっちに集中しますから、そちらの相手はできませんので、ご了承を」
「だって」
「あなたに言っているんデスヨ、美咲さん」
そうかー、と美咲は言う。そして、美咲はニシワタリに問いかける。
「何か一発ネタ無い?」
「こっちの台詞デスヨ。でもまあ、このままぼんやり待つのも暇デスカラ、何か話していマショウ」
そういうニシワタリに、美咲は提案する。
「なら、『カルドセプト リボルト』で、一つ。ニシワタリさんは<地属性>メインなんでしょ?」
「エエ。美咲さんもそっち側でシタカネ」
「うん」
「なら、そういう話をしましょうか。エエト、ではまず初めに<地属性>の基本的な傾向は覚えていマスカ、美咲さん」
美咲が答える。
「もうだいぶやってるから分かってるよ。HPが多い方で、それに<援護>と<再生>があるから防衛向き! <援護>は使うクリーチャー次第で攻撃にも転化出来るのも強み!」
一息に言い切った美咲に、ニシワタリはパチパチと手をたたく。
「よくわかっていますね」
「もう結構やってるからね!」
「サテオキ」
ニシワタリは話を進める。
「<地属性>は美咲さんの言うように、基本的に攻めより守りに定評がある属性デス。<先制>持ちや<強打>持ちが少ないのでどうしてもダメージを出して侵略するより、守って通行料をせしめる方が向いていマス。ではまず<地属性>の特徴である<援護>持ちから話をはじめマショウ。まず、<ウッドフォーク>」
「基本だね」
ニシワタリは頷く。
「そうデスネ。<援護>持ちとしては基本のクリーチャーです。武器アイテムが使えないので特殊な効果を持てないのが欠点デスガ、基本的に<援護>はSTだけではなくHPも上昇しマスカラ、<先制>持ち相手に攻めても相手の攻撃に耐えられる場合が多いのが強みデス。基礎HPも<援護>持ちとしては高めデスカラ防衛にも使いやすい点もいいデスシ、そもそも全属性クリーチャーを<援護>に使えますから、安定しやすいのデス。続いて、<シルバンダッチェス>」
一息入れて、続ける。
「これも<援護>持ちであり、基礎能力はST50のHP50と高く、アイテムの使用制限もなく、また道具、巻物、<援護>を潰せる能力と<再生>に持ちなので、攻勢にも防衛にも使える高性能クリーチャーです」
「それだけ聞くと強すぎる気がするけど、欠点もあるんだよね?」
美咲の問いに、デスネ、と返すニシワタリ。
「基本的には高性能デスガ、まず召喚条件に<地属性>土地二つが必要という重めな制限がありマス。事故、つまり手札に来るタイミングが早すぎて使えないことがある訳デスネ。そして<援護>で使える属性が<地属性>限定デス。なので、援護用も兼ねているクリーチャーの選定の幅が狭まりマスネ」
「つまり、若干使いにくいってことだね」
美咲の言葉に、然り、とニシワタリ。
「次に行きマショウ。<モルモ>デスネ。火、地、無属性のクリーチャーを<援護>で使えるので火地ブックに組み込みやすいクリーチャーデスガ、その利点はそれ以上に<地属性>しては攻め向きのクリーチャーな所にありマス」
「どの辺りが?」
「一つは<感応>持ちであることデス。基本STは20と低めデスガ、<火属性>クリーチャーが場にいると、これに30加算されマス。つまりST50になる訳デス。<援護>つける前からこれなので、火力だけなら<地属性>の中でもかなり高いレベルを叩き出せる可能性がありマス。また武器の使用も出来るので、絡め手な攻撃も可能なのもいいところデス」
もう一つは、とニシワタリは続ける。
「<巻物強打>持ちであることデス。通常攻撃を<無効化>する相手でも、<巻物強打>ならかなりのダメージが出せますから、戦いやすいのデス。この二点が、このクリーチャーの攻め能力の高さを示していマスネ。ただ、HPは30なので防衛力の点ではいまいちなので、攻め取ったらすぐに配置転換する方がいいデショウ」
次は、とニシワタリは進める。
「攻め向きのクリーチャーの話をしたので、それに続けマショウ。<グレートタスカー>デスネ」
「あ、うちのエース格」
美咲の言葉に、そうですか、ニシワタリ。
「レア度がノーマルで、且つわりと早い段階からでも手に入るクリーチャーなので、重宝シマスヨネ。魔力コストが高めで<地属性>土地一つがないと、なので若干重めデスガ、能力値はST60のHP50と高く、<先制>持ちの通常攻撃を<無効化>出来るので攻めでも守りでも使える点もいい所デス」
「<プラックソード>で150ダメージが個人的に大好物かな」
「この能力値でレア度ノーマルなのはそう多くないデスカラネ。ただ、巻物が使えないので<無効化>は苦手デスガ」
さておき、とニシワタリは区切る。
「<秘術>で見るべきものがあるクリーチャーの話もしマショウカ。まず<スピットコブラ>。これが持つのは衰弱の秘術デス」
「どういう効果かな?」
「戦闘終了時にMHPの半分が現HPから減る、というものデス。つまり、地形効果の無い素のHPを半分以上減らせておけば」
「成程、そこでHPが0になって、倒せるんだ」
「そういうことデス。<シニリティ>のちょっと弱め版、と覚えておいても、そう間違いではないデスネ。<スピットコブラ>自体召喚コストは80と高めですが、ST40のHP40というそこそこの基礎能力なので、スペルで撃退されにくいのもポイントデスネ。こういう場合のクリーチャーは脆弱な場合が多いので、余計に目立ちマスネ」
次は、と続けるニシワタリ。
「<ドワーフマイナー>。この秘術は簡易<マナ>と言えばいいデショウ。周回数×30のゲインが得られる、というものデスネ。特に使ってデメリットなどもないデスシ、スペル打つ物がない場面でとりあえず使う、という使い方で間違いないデショウ。また<ドワーフマイナー>自体、HPが50と防衛力があり、且つ通行料を1.5倍取れるので、そっち目的で使えるのもいいデスネ」
最後に、とニシワタリ。
「<スクリーマー>。クリーチャーとしてはそれ程強い訳ではありマセンガ、秘術で相手のクリーチャーがいる土地での地形効果を無効に出来るのは大きいデス。まず当然攻めやすくなりマス。この解除は相手その場のクリーチャーを移動させたりクリーチャー交換をすればいいのデスガ、それでもダウン状態でなかなか変えられない。高額領地だから移動できない。というので、行動を抑制しやすくするのが大きいデスネ。まあ、こんなところデスカネ」
とニシワタリは言って気づく。手術室の雰囲気が、異様になっていることに。所狭し、と色々と怪しげな物品が置かれている状況である。ご丁寧にニシワタリと美咲のいる辺りには全く置かれていないので、こんなになっているとは気づかなかったのだ。
「ちょっとパッション! これはいったい何をするつもりなんデスカ!? なんだか妖力の感じが不穏なんデスケド!?」
ニシワタリの問いに、パッション郷は事も無げに言う。
「そう言えば、あの時のわたしの発言、あなたは聞いていませんでしたね、ニシワタリ」
「なんデスカ、それは」
「ああ、それって」
と美咲が口を挟む。
「また郷ちゃんの家みたいに燃えるかもしれない、って話」
「それです」
「確かに聞いてないデスヨ! ここを燃やすつもりなんデスカ!? 何のために!?」
「それは企業秘密っすよ」
とトカは言うと、パッション郷に促す。
「で、この後どうしたっすかね」
「確か、これをこう」
「うわ、なんか無視して話進んでマスセンカ!」
そのまま無視して、トカとパッション郷は小物を動かし始める。
すると、美咲は妙な感覚を得た。
誰かに、見られている。
誰かとは? ここに自分たち以外に誰がいるのか?
そして気づく。その誰かの可能性。
つまり。
「幽霊だ!」
三体の妖怪が何事? と美咲の方を見ると、その時には既に、美咲の体に幽霊が入り込もうとしていた。
ということでまた続いてしまう形に。これ以上長くするとだれる! と思ったので思い切って続くにしました。はてさて、この後どうなってしまうのやら。
さておき。
今回は地属性クリーチャーの話でしたが、地味に扱いやすいクリーチャーが多いような気がします。援護が結構効果高くて、序盤から中盤辺りまで安定しやすいからでしょうか。普通にアイテムより使いやすい場合が多いんですヨネ。でもクリーチャーが減るので、その辺どう考えるか、でしょうかとかなんとか。




