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第一話 『カルドセプト』とは何ぞや

初めに。書いている人の補正が掛っているので、ゲーム内容とかが他の人の感想と違うかもしれません。あしからずご了承ください。

 一本だけ柱の形を残した消し炭の山の前で、四者が呆然としている。色々と唐突過ぎたので、誰もが呆けている。

 そこから、一者が口を開く。若干煤けているが黒いスーツ姿と黒いサングラスが特徴的だ。

「どうして、こんなことになったでありますか?」

 隣の一者に問う。こちらも煤けている。問うた方と同じように黒衣だが、透き通るくらい白い髪をしているので強いコントラストがある。その一者がやや遠い目で答える。

「それを問われても、わたしに答えはないんですよ。こちらとしても、どうしてこうなったのか分からないんですから」

「いや、原因はあなたにありますっすよ」

 こちらも煤けた一者、その集団の中で頭一つ背が低い、がそう答える。

「あれだけ妖力の種類があるものをいっしょくたにしてたら、互いに干渉して妖力の形が変わっちゃって、予想出来ないモノになっちゃうんすから」

 頭一つ低い一者の言葉に、その隣でへらへら笑っている一者が口を開く・

「はひっ。しかし、よく燃えましたねー」

「あんな炎焼系の妖力なんて混ぜた覚えなかったんですがね。まあ、わたしは付加には強いですが、混濁は特に専門家ではないですから、そういう隙があったのは否定しません」

「……あれを炎焼系で済ませるでありますか」

「爆発系っすよね」

「はひっ。酷く爆発して酷く燃えましたねー」

「……、悪かったですよ。予防するべきでした」

 そう謝る者に、背の低い者が、そういう問題ではなく、と。

「ってもまあ、もう終わったことはどうしようもないっすから、それは放っておいてするべきはこの後を考えることっすよ」

「そうであります。“あれ”を取り逃がしましたでありますからな」

「はひっ。まさか、あの爆発から生まれるモノがあるとは、ですねー」

「……。あまり貸しを作りたくはないのですけれど」

 白い髪の一者が深くため息を吐く。

「あの方ですかー、パッション様」

 パッション様、と呼ばれた一者、パッション郷は頷く。

「サティスファクション都。彼女に手を貸してもらいましょう」

 その言葉と共に噴いた風で、唯一その面影を残していた柱が、ずぅん、と倒れた。


 とある都市の住宅街。その一角にひっそりと佇む邸宅に、ゲーマー妖怪がいた。

「どうも、ご紹介にあずかりました。ゲーマー妖怪のサティスファクション都です。と言う訳でやっていくんだけれども」

 そういうサティスファクション都を揶揄するのは、側にいてお茶をすする、これまたゲーマー妖怪のニシワタリである。

「妖精と言うのはどうしたんデスカ?」

「……ゲーマー妖精のサティスファクション都です」

「おせえデスヨ」

「だって、ここ最近そういう紹介されることが少なかったんだもの! ゲームやっててもあるでしょ? 途中で止めてたのを再開したらなにをするつもりだったか忘れてることって!」

 感情的になり、長い黒髪を振り乱して言うサティスファクション都。対して、ニシワタリの言は素っ気なかった。

「しらねえデスヨ」

「……とにかく、ゲーマー妖精のサティスファクション都です。今日はスペシャルゲストとして犬飼美咲さんと城茂美さんをお迎えして」

「いつもの面々だろ、デスヨ」

 ニシワタリの言はその通りである。呼ばれた1人、犬飼美咲は栗毛の髪の癖っ毛の女の子で、ちょこんとその癖っ毛を適当にいじっているし、呼ばれたもう一人、城茂美は黒髪のポニーテールをした女の子で、正座の姿勢でため息などを吐いている。共にスペシャルゲストという雰囲気ではないし、いつもこの家にくる客人である。

「で、何をするんだ。都くん。スペシャルゲストだが何も聞かせてもらってない」

「何をするの、都ちゃん。スペシャルゲストだけどそもそもスペシャルゲストなのを聞かせてもらってないよ?」

 二人から連続でつっこみを入れられて、サティスファクション都はしょげる。が、すぐに気を取り直す。切り替えの早さは自身の強みだと主張しております。

「当然、強みよ? さておき今日は、みんな、3DSは持ったか! ということで持っているわよね?」

「今日はから話が繋がってねーデスヨ。ですが、まあ、それくらいはワタクシも持っていマスヨ」

「僕もある」

「私は弟のお下がりだけど、あるよ」

「なら、みんなにはこれから『カルドセプト リボルト』に付き合ってもらうわよ」

 そう言って、サティスファクション都はどこからか3DSを取りだした。そして画面の方を皆に示す。そこに、『カルドセプト リボルト』のタイトル画面が、暗雲の中に映る洋館があった。

「今回は『カルドセプト リボルト』デスカ」

「新作出てたのか、『カルドセプト』シリーズ」

「『カルドセプト』?」

 三者三様の反応に、サティスファクション都は一つずつ答える。

「そうよ、ニシワタリ。今回は『カルドセプト リボルト』をやっていくわよ? 新作情報に疎いとは駄目ね、城。そして美咲。あなたの為にまず『カルドセプト』とはなんぞや、と言う話を今回はしたいと思うわ」

「相変わらず美咲さんに甘いデスナ、サティスファクション」

「全くの初心者を沼にはめる為なら、甘く甘くいくに決まっているでしょ?」

「沼はめるの前提なのかよ」

 当然でしょ? という顔のサティスファクション都。やる気満々である。

 それについてはこれ以上の追求は無駄と判断した茂美は、「まあいいけど」と一区切りして、続ける。

「『カルドセプト』については僕もそんなに詳しい訳じゃないから、一応話を聞かせてもらうよ。美咲は、全く分かんないんだね?」

「わりと初めて聞いたよ」

「完全新作は10年ぶりくらいだからねえ……」

「その10年前の作品は……、ウッ、頭が……」

「むしろ怒りがこみあげてくるわ……。本当に、本当になんであんなことに……」

 いきなり小芝居を始めるサティスファクション都とニシワタリの様子を見て、その10年前の話は禁句だろうと、茂美と美咲は判断をする。ちょっとそこの所を掘り下げてもらいたいようにも見えるが、危うきに近寄らず。

「さておき。じゃあまず、『カルドセプト』がどういうゲームか、と言うのを話していきましょうか」

 食い付かないとみるや、話を転換するサティスファクション都。ニシワタリはちょっと不服そうであったが、それに大人しく従う。

「『カルドセプト』は、今から、2016年から19年前。1997年に大宮ソフトが開発し、リリースしたゲームよ。ゲームとしてはボードゲームとカードゲームを組み合わせた、というと分かりやすいかしら」

「ボードゲームと、カードゲーム」

 オウム返しする美咲に、そう、とサティスファクション都。

「ボードゲームの気軽さと、カードゲームの奥深さを組み合わせた、全く新しい格闘技じゃないゲーム、なわけね」

「でも、それって食い合わせ悪いんじゃないの? 簡単さと難しさって」

「気軽さと、奥深さよ。美咲、これは大きな違いよ?」

 いい? とサティスファクション都が続ける。

「『カルドセプト』の内容の話をするわよ? ゲームの基本としては、マップをダイスを振ってチェックポイントを回るボードゲーム、双六ね? をしながら、クリーチャーで土地を占拠して通行料を取ったり、土地をたくさん取って連鎖したり、土地をレベルアップして価値を高めたり、あるいはその土地を戦って奪ったりして、規定魔力を集めていくの。このクリーチャーや戦闘時に使うアイテム、あるいは移動前に使うスペルが、カードゲームの部分な訳」

「なんだか、複雑?」

 ちょっと付いてきてない感じな美咲に対し、ニシワタリが助け船を出す。

「移動は双六、戦闘と占拠と妨害と蓄財はカード、と考えると分かりやすいデスヨ」

「そうね。よく言われるのは、双六の運要素を、カードの戦略で覆す。というのがあるわね。50枚のカードの戦略を練り上げて、運をねじ伏せる。それがこのゲームの妙ね」

「偶に運にねじ伏せられますケドネ」

「その辺の塩梅もまた楽しいんだけどね。でも、カードでの戦略がきっちり決まるようプレイングを考えるのが、このゲームの一つの楽しさなのよ。基本のルールは止まった土地を取ったり取られたりと気軽だけど、このカードの戦略が奥深い。そういうゲームなのよ。……どうかしら?」

「もうちょっと、分かってないかもしれない」

 素直な美咲に、サティスファクション都はぐぬ、と呻く。そこにニシワタリが助け舟を出す。

「ならば、もうちょい話をプレイに沿ってした方がいいデスネ」

 そう言うと、何処からともなくホワイトボードが登場する。ニシワタリがそこにキュッキュとマジックで文字を書いていく。

「まず、自分のターンの開始。そこでカードを一枚引きマス」

「『カルドセプト リボルト』ではそこにもう一つ新しい要素があるんだけど、それを書くと混乱するかもだからまた別の機会にするわね?」

 次に、とニシワタリがまた文字をキュッキュ。

「スペルターン。手持ちのスペルを使うタイミングデス。スペルは単純な攻撃からクリーチャー能力の底上げ、土地の価値レベルダウンから通行料が規定値など、様々な効果がありマス」

「それをどう使っていくか、どういうのを選ぶか、というのも考え所、奥深い所ね」

 それから、とニシワタリはまた文字をキュッキュ。

「移動ターン。ここでダイスを振ります」

「わりと遅いんだね」

 美咲の言葉に、サティスファクション都は「そうでもないわよ」と。

「レスポンスがよくて待ち時間とかは皆無だから、すぐに動かせるのよ?」

 で、とニシワタリ。キュッキュと書く。

「ダイスを振ったら移動。そして土地に止まると空き地ならクリーチャーが置けて、相手クリーチャーがいれば戦闘するかどうか、というタイミングになりマス」

「常に戦闘すればいいわけでもないのがポイントね。通行料を取られるのをどう考えるかが重要だわ」

「ちなみに、この土地に止まったタイミングで領地コマンドが使えマス」

「領地、つまり取っている土地に色々出来るタイミングね。レベルを上げたり、クリーチャーを交換したりするわ」

 最後に、とニシワタリ。キュッキュ書き書き。

「そして最後に手持ちのカード数が6枚以上なら、6枚になるようにカードを捨てマス」

「これで、自分の手番が終了。そして次は相手が同じように。という流れね。どうかしら、美咲。飲み込めた?」

「うん、最初からこれだったらよかったね」

「都くんの説明は分かりにくかったからな」

「あなた達ねえ……」

 それは実際その通りな部分もあるので、サティスファクション都はまたぐぬぬ、と呻く。

 そこにニシワタリ。

「マア、ゲームの方はそういう感じデスヨ。サティスファクション。どうせなら一回プレイしてもらった方が話が早いと思うんデスガ」

「それを言うとこの話の存在価値がなくなっちゃうでしょう?」

「いらねえデショウ、そんな価値」

 サティスファクション都はよれよれと崩れ落ち、おいおいと泣き始めた。嘘泣きなのは場の全員が気付いているので、誰もフォローには入らない。どころか、ニシワタリはサティスファクション都の3DSを奪い取り、美咲に手渡すまでした。

「サティスファクションのデータで遊んでみるといいデショウ。ボタン操作については基本的にAボタンを使っていれば問題ありマセン。他に使う物もありマスガ、それは追々」

「うん、やってみるよ!」

 そう言って、美咲がプレイを始めようとしたその時。

「ごめんください」

 声が凛と響いた。それは美咲にも聞き覚えのある声だった。

「パッションさん?」


「で、何の用なのよ。パッション」

 玄関先で立つ一者。パッション郷に対してサティスファクション都は渋い顔をしている。昔は仇敵であった相手ではあるが、最近になって復縁して、しかし付かず離れずという接し方で過ごしてきた相手が、今。

「その荷物は?」

 背負いきれないくらいの荷物を持って、玄関先に立っている。

「これには深い訳があるのですが、それを語る前に中に入れて欲しいですね」

「語ってからじゃないと入れないわよ」

「家が焼けてしまいまして」

 サティスファクション都は更に顔を渋ませる。

「なんで」

「この間、妖怪互助会の監査が入ったんですが、その時、入れ替え用に色々と取ってあった妖物品の妖気の乱れが発生しましてね。それで大爆発ですよ」

「……、つまり、宿なしだって言いたい訳ね」

「ついでに、ここにしばらくご厄介になれないかと思いましてね」

「……」

 サティスファクション都の顔は最渋面である。今にも帰れ! と叫びたいと、発する雰囲気が言っている。

 しかし、こちらのやりとりを見ている美咲の顔を、ちらりと見てから、サティスファクション都はため息。

「この家は広いから、あなた1人、いやあの従者もいるのか」

「ええ。外で待機しています」

「まあ、二人くらいならどうとでもなるわ。いいわよ。上がりなさい」

 サティスファクション都の言葉に、パッション郷は深々と頭を下げる。

「恩にきます。シシデバル。入ってきなさい」

「はい、パッション様」

 そう言って、パッション郷の従者、シシデバルが入ってくる。

 パッション郷の持つ荷物の、三倍程の量の荷物を持って。

「……」

「上がりますね」

「……いいわよ。ウチは広いからね!」

 自分の言動を反省する、サティスファクション都だった。

 ということで、サティスファクション都シリーズ第二弾始めてみました。ゲームは『カルドセプト リボルト』でやっていきますよ。これも鉱脈としてはかなり掘れるゲームなので、ぼちぼちのペースでやっていきたいかと。というか、元から結構いいゲームというイメージだった『カルドセプト』が更にグレードアップしたアトモスフィアですよ。もっと皆こぞってやるといいです。

 とかなんとか。

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