小鳥
小鳥が肩で囀る
囀りに耳を傾けながら遠くある地平線を眺めていた
自分の時間がゆっくり流れる
周りや背後は真っ赤に燃え上がっており
人の叫び声うめき声が絶え間なく聞こえてくる中
時々爆弾が爆発する轟音が鳴り響く
いつ死ぬかもかわらぬ状況の中
小鳥の囀りを聞きながらぼーっと向こうの方を眺める事が止められなかった
あたり一面が真っ赤な焼け野原であったが新緑萌える春の野原のように感じられた
僕は立ち上がった
小鳥は立ち上がるとともに飛び去っていってしまった
爆弾や銃弾の雨が降り注ぐ中僕は駅に向かった
あたかも自分は存在しないかのよう
爆弾や銃弾があたり一面のレンガやコンクリート造りの建物や道路を抉りとっていく
僕は切符をきった
行き先は決めていない
1時間ほど電車に乗りたかっただけである
適当な電車に乗り座った
乗った電車は環状線
切符を握りしめた
自分を見失わないように
窓から見る景色はすぐにいつもの景色を映し出し
様々な建物が建っており街は賑わっていた
ガタンゴトンと電車が揺れる音がする中で
小鳥の囀りが聞こえる
いつの間にか肩に乗っていた
僕はその小鳥にポケットからパンくずを分け与えた
小鳥がパンくずを食べまた囀る
眠くなってきた
乗った電車は環状線
徐々に景色が赤く染まっていき
小鳥はいつの間にか消え
狂気に満ちた声に変わる
眠い
目を閉じた
耳をすませば小鳥の囀りが聞こえる
真っ暗な世界
深く深く落ちていく
次はいつあの小鳥に会えるだろうか
次あった時はどんな囀りを聞かせてくれるのだろうか
再会が待ち遠しい反面すぐには会いたくない気持ちがあった
今度会った時は一緒に寝てくれるだろうか
僕は闇の中に姿を消す