g 02
土埃が舞うなか、俺は生きていた。
不思議なことに打ち身や擦り傷はあるが。
軽傷だった。
あの瞬間、俺は死を覚悟した。
しかし、神の慈悲かそれともただの偶然か。
俺は地面に体をつける前に両足で地面を横方向に蹴ったんだと思う。すると、真下に落ちていたのが、横方向に跳ぶ向きへと変わって、ゴロゴロと地面を大車輪よろしく転がり、偶然、前受け身をしたような感じになったんだろう。
まあ、転がりまくったから全身が痛いし、草だらけで大変なことになったけれど。
「何にしても助かった。死ぬかと思った」
いてて……
体の埃を払いながら、俺は立ち上がった。
それにしても、何が起きたんだ?
いったい……
急に体がフワッと跳んだぞ。
そういえば、変だな。
何か体が軽い気がする。
まあ、……いいか。
ともかくさっきみたくは、もうなりたくない。
正直、つぎは死ぬ自信がある。
でも、さっきはただ歩き出しただけだしなぁ。もう一度やってみるか?
……いやいや。
よそう。全然良い未来が思い浮かばない。
「はぁ。どうするか…………ん?」
空を見上げてみると、何やら鳥が番井で飛んでいる。
随分高いところ飛んでるな。
俺はあの鳥の飛んでる高さの10分の1くらいは跳んだんじゃないか?
いやー跳んだな俺。
というより。
俺っておかしくね。なに冷静に跳んだとかいってるけど、人間があの高さ跳べるわけないだろ。10メートル、助走も何も使わず、ただ跳んだのか俺。
何、俺もしかしてスー◯ーマンになっちゃたか。いや、どちらかというとあれか。仮面ラ◯ダーか。誘拐されて、体がおかしくなってしまってるんだからな。
あはは。
はぁ。
どーしようかな。
もうここから動けねぇ。
あ、鳥が飛んでる。
あの鳥みたく空を飛べればなぁ。
しかし、あの鳥何か変じゃないか。
だんだんとこっちに近づいてきてるような?
何かそれに大きくないか?
こっちに近づくにつれ、大きくなってる?
「体長5メートル以上ってところか?大きい鳥だなー」
5メートル以上か。
大きいなー。
鷹って何メートルだっけ。
「ほんと大きい。あれ、でもあれ5メートル?何かもっと大きいような……」
しかも何か低空で飛んでいておかしくないか?まるで今から獲物を捕るために高度を落としてるかのような。
「おいおいおい……大きすぎる。あれは、5メートルどころじゃない。10、15メートル……いや、もっとデカイ!」
キエエエェと高音質の鳥独特の鳴き声が草原に鳴り響いた。
やばい。
あれは、怪物だ!
化け物だ!!
どうなってんだよ。
逃げないと狩られる!
でも、どこに逃げれば。
それに、走ればさっきとは比べものにならないくらい跳んでいってしまうんじゃないか?
どうすれば!後ろからは、もうあの化け物が迫ってきてる!
俺は、震える膝を手で押さえた。
駄目だ。
もう考えてる時間はない!
ええい、ままよ。
あんな化け物に殺されるくらいなら!
スタートダッシュのポーズをとった。
走れ!!俺!!
一歩を踏み出した。
ばこん。
凄い衝撃とともに体全体に圧力がかかった。