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君を飼っても良いですか?  作者: 黒井みやこ


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9/15

9-正当防衛のつもりだったんです


 入ったその日に街を出て、そそくさと逃げ帰る。

 そんな道中だから、若干……いや、かなり気まずかった。

 何か言わないと……なんて思っている私より先に、彼がそっと口を開いた。

「ミリカさんが出てくのって、賢者様関連?」

 私はビクッと大きく身体を震わせた。

「うっ! き、聞いてたのか……」

「まあ、そりゃね」

「あはは……。説明、した方が良いよね?」

 彼は小さく頷いた。


「えっと……まずさ、賢者様って知ってる?」

「『凄い魔法使い』ってことは知ってるけど、あまり詳しくないかな」

「合ってるよ。『定められた偉業を為した魔法使い』に与えられる称号が賢者。つまり偉い魔法使いってことだね」

「ふむふむ。それで? ミリカさんとどう関係するの?」

「ぶっちゃけね、私は魔法使い関係でやらかしたのよ。つまり……魔法関連のお偉いさんに追われてる。賢者様とかだったら、もう全員私の所業知ってるって考えて良いかなぁ……うん……」

「本当、一体何したの?」

「まあ……うん、過剰防衛?」

「えぇ……王様でもぶん殴ったの?」

「そこまでじゃないよ! ……でもまあ、近いっちゃ近い……ような、そうでもないというか……」

「なんとなくだけど、ミリカさんすっげぇ馬鹿な理由で追われてるってのはわかった」

「んにゅぅ……。否定は出来ない」

「まあ、了解。ということは、これからも魔法使いの人が来れば逃げる感じ?」

「まあ、そうなるね。流石にはぐれの魔法使いとかだと大丈夫だけど、学園出とか貴族関連とかは完全にアウト。それと、君が嫌な目に遭いそうになっても出るから。だから、嫌な予感がしたら早めに教えてね」

「――ありがとう」

「どういたしまして」

 応え、私はにこりと微笑む。


 これだけ話しても、これだけ二人っきりになっても、彼の警戒はずっと解けていない。

 彼はずっと、私に心を許していない。

 彼は隠しているつもりだろうが、流石にそのくらいはわかる。

 だけど、それについてどうこういうつもりはなかった。


 だってそれは……それだけ、彼は酷い目に遭ってきたということなのだから。


 悪いとは思う。

 それでも、私は彼に哀れみを向ける気持ちを抑えられなかった。


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