7-昼寝
訓練時は徹底的に厳しくて、それ以外は徹底的に易しくした。
日常に関しての世話は限界までして、食べたいものがあれば優先して、栄養バランスを考える必要があったら自ら料理して。
とにかく私は、彼を甘やかした。
嫌われたくないのと、笑って欲しいのと、幸せになって欲しいのと。
後は、傍に居たい。
そんな、自分本位で勝手な理由。
あまり欲を見せない彼に、何か出来ないかといつも考えてしまう。
そして甘やかした分だけ、訓練は厳しくした。
身体に傷を作り、心が折れても続け、どれだけ疲弊しても一切手を緩めずに。
多少壊しても、魔法で治して続行させて。徹底的に、徹底的に。
そんな日々を数日続けたある日の昼間……。
彼が、私の定位置であるソファの上で眠りについていた。
「あらあら」
そう言って微笑みながら、だけど同時に小さな罪悪感を抱く。
昼間にダウンするほどしごいてしまったらしい。
もう少し優しくすべきだろうか。
だけど、それが本当に彼の為になるだろうか。
せめて時間があれば、もう少し丁寧に教えられるのに……。
そう思い悩みながら、彼に目を向け――私は、あることに気付いてしまう。
彼は薄着で、上半身はほとんど裸に近い状態だった。
ドンと、心臓が胸を強く叩く。
かあっと、頬が自然に紅潮していく。
わかりたくなかったけれど、野郎が良く女性の胸とか尻とかを目で追う理由が、今なら理解出来る。
本当に、本当に理解したくなかったけど……。
見ているのは失礼だとわかっている。だけど、吸いつくよう目が離れない。
それほどに彼の身体は美しくて、魔性で……。
だからだろう。
私の中のどこかから、淫靡な感情が疼き溢れる。
彼を、自分だけのものにしたい。
閉じ込め、独占し、道具のように貪りたい。
そんな私を、私自身が否定する。
生唾を飲み、静かに深呼吸。
そして彼に毛布一枚をかけてから、私はその場を離れた。
ありがとうございました。




